これはスロヴェニア・アルプスの一角の登山記録。このエントリは東欧の言語(もともと ISO-8859-2 が使われてきたような)の特殊文字の混在表示テストでもある。
ヨーロッパアルプスの東端に位置するのがスロヴェニアの山々。フランスやスイスのアルプスとちがって、観光開発が進みすぎていないのがいい。山々の標高は決して高くはないが、きわめてアルプス的。その中の一角がボヒン地方。周りを山に囲まれた、尾瀬を一回りか二回り大きくしたような地形の地域。ハントケは、古いドイツ語でタールシャフト Talschaft、谷の集まり、と形容している。尾瀬と違って、下は湿原ではなく、牧草地と湖だ。一番奥に、透明度の高い、美しい緑色の水をたたえる大きな Bohinjsko jezero ボヒン湖。さらにその奥のどん詰まりに、高さ78mの断崖の途中(カルスト地形の地下水脈だ)から落ちてくる Slap Savica サヴィツァ滝(この滝についてはこちらに美しい画像をまじえた日本語による紹介がある。ただしサヴィカという音訳は誤り)。
Črna prst チュルナ・プルスト山 (1844m) ソース: http://www.zaplana.net/izleti/CrnaPrst/
1996年7月16日、このボヒン地方の南側を限る山脈を、ロディツァ山からチュルナ・プルスト山まで縦走。単独。この山脈の南面は非常に切り立ったところが多く、岩登りの必要はないが、かなりの緊張感がある。
ボヒン地方の中心地、ボヒンスカ・ビストリツァまたはその先の観光の中心地リブチェウ・ラース Ribčev Laz からヴォーゲル Vogel ・ロープウェイの駅まではバスで。
ものすごい急勾配で上っていくロープウェイは毎正時と30分発。下のボヒン湖がぐんぐん小さくなる。

8:30発で上まで行き、そこから8:45ごろのリフトに乗り継ぎ。(このあたりは台地状になっているが、かつカルスト地形で凹地も多く、少々複雑な地形。冬場はスキー場になる。)
8:55 長いリフトの終点 Postaja Orlova glava オルロヴァ・グラヴァ駅(小屋あり)から歩き始める。晴れ。この先、Orlov rob オルロウ・ローブ (Postaja Plato 高原駅) へのリフトは(夏は?)休止中。あたりには、さまざまな高山植物が色とりどりの花を咲かせている。
9:25 Visoki Orlov rob 大オルロウ・ローブの小ピーク。
9:30-33 分岐(シーヤ Šija 山直下で縦走路に出る)。尾根の北面。岩場とハイマツ帯の急登後、凹地の北側の縁を行く。
9:55-10:00 1796m のピーク。(Čes Suho チェス・スーホ峠の手前。初めて南面の展望が開ける。)360度の、非常によい眺め。北にはスロヴェニアの最高峰トリグラウ (2,864 m)、南はイタリアまで。

10:35-40 放牧されている羊の群の間を通って、Rodica ロディツァ山の南西の肩に出る。頭上に雲。このあたりでエーデルヴァイスの花にも出会う。

10:45-48 RODICA ロディツァ山 (1966m)。このあと、ロディツァ東側の尾根やや南西よりに岩場が続く。
11:04 岩場の通過を終えて休憩。Suha Rodica スーハ・ロディツァの手前。はるか下に、南の谷の村、Grant グラント、Rut ルートの眺めがいい。

スーハ・ロディツァ Suha Rodica 1944m は北側を、ラスコヴェツ Raskovec 1967m は南側を、マタユルスキ・ウルフ Matajurski vrh 1936m は北側を巻く。北面の窪地のいくつかに残雪。
11:55 マタユルスキ・ウルフ北面の通過終わり。ここからしばらくは南側の草地の間の快適な道。しかし霧が次第に濃くなる。コンスキ・ウルフ Konjski vrh あたりからは岩のヤセ尾根。岩場。南側からジグザグの急な登りがある。雷鳴が聞こえ始める。ペースをさらに上げる。
他の登山者にほとんど遭わなかったこのコース、このあたりで反対方向に向かうグループに遭う。ヨーロッパ系の男女とアフリカ系の男1人のグループ。一人で歩いているのか、それは危険だ、とにやにやしながら英語で声をかけてくる。余計なお世話だ。この天候では、この先避難場所もない険しい尾根道をちんたら歩いていくあんたらの方がよほど危険だ...と口に出して言わなかったけれど、言ってやるべきだったか。(やがて案の定、激しい雷雨になった。彼らには隠れる場所はなかったはずだが、どうしたか。翌日のスロヴェニアの新聞には遭難記事はなかったから無事だったのではないかと思うが。)
12:40 チュルナ・プルスト山 Črna prst 直下の山小屋、Dom Zorka Jelinčiča ドム・ゾルカ・イェリンチチャ着。ほぼ同時に激しい雷雨が始まる。どかんどかんとものすごい落雷。食事も出してくれる小屋で、昼食に煮込みを注文し、天候回復を待つ。最初に乗ったリフト終点からここまで、途中に山小屋も避難小屋もない。13:40ごろ雨が上がる。まだ雷鳴。霧が晴れ、チュルナ・プルストの山頂 (1844m) から全方位の展望を楽しむ。
14:15 雷鳴も止んだので、小屋を出発。ここで山脈の縦走は終わり。ボヒンスカ・ビストリツァに向かって下り始める。しかしまだ霧が少々。
15:00-15:12 PL. ZA LISCEM の避難小屋 (1338m)。3つぐらいの小さな池があり、ギシギシのような草が一面に生えた窪地。樹林に入り、しばらく草地と樹林の間の下り。
15:33 上の林道に出る。電動ノコで作業をしている人がいた。しばらく林道(道沿いにラズベリーの茂みあり)を歩き、また樹林へ。
16:00 下の林道に出る。すぐに右手に Dom dr. J. Mencingerja メンチンゲルヤの山小屋を見て、その先で左下の牧草地に入る。泥の道。
16:18-28 レブロ Rebro の牧草地に出たところで休憩。ボヒンスカ・ビストリツァの町はすぐそこ。陽が出たのでシャツを脱いで少し乾かす。
16:43 ボヒンスカ・ビストリツァ帰着。


