リュブリャーナ日記 拾遺の最近のブログ記事

drzavna_meja.jpgぼくがノヴァ・ゴリツァに行ったのはいつのことだろうと思って確かめたら、たぶん最初が1994年、最後はたぶん2000年のことであったようだ。この前(2005-06年)のスロヴェニア滞在のときは行く機会がなかった。

イタリアと「ユーゴ」、古くはオーストリアとの間の係争地。第一次大戦の激戦地で、ヘミングウェイが『武器よさらば』で描いたのはここのソチャ川上流の戦闘だ。上流のトルミンには戦争博物館があって、EUの支援を受けて、展示を充実させている。

ノヴァ・ゴリツァのイタリア側はイタリア名でゴリツィア。その街外れが、国境で分断されてユーゴスラヴィア、いまのスロヴェニアのノヴァ・ゴリツァになった。1948年(?)のパリ講和条約でのことだ。ノヴァ・ゴリツァの鉄道駅前の風景は、実に奇妙なものだった。駅前から、ゴリツィアの街の中心部に向かって、目抜き通りが伸びている。が、駅のほんの鼻先で金網で仕切られ、その通りは国境の向こう側だったのだ。東京駅を降りたはいいが、丸ビルは金網の向こうという感じ、と言ったら、ちょっとずれるが、まあ、そんなものだ。

    
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独立から十数年経って、スロヴェニアに関する「概説書」は既にいくつか出ている。
まずはイギリスで出版されているこれ(英語)。
Slovenia and the Slovenes (REPRINT DUE JULY)

それからドイツのこれ。

SlowenienSlowenien.

    
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Kako čas hiti! 月日の経つのが恐ろしく早い。スロヴェニアから帰って来てもう丸2年経ってしまった。「リュブリャーナ日記」として滞在記を書いていた頃、書きかけたまま放置してあった記事がまだかなりある。これからでも、出せるものは少しずつ出していこうと思う。

プレチニクの建築についても、いくつか紹介してきたが、彼の作品はまだまだいくらでもある。さすが「プレチニクのリュブリャーナ」だけあって、リュブリャーナを歩いていると、犬でなくても、いたるところでプレチニクに当たるのだ。関係ないけど、リュブリャーナでは犬の糞を放置していく飼い主が多い。パリほどひどくはないけれど、ちょっと気をつけて歩かなければならない。

ええと、いたるところにあるプレチニクの話。たとえばぼくらの住んでいたアパートのすぐ近くのこれ。

アイロン (1933-34)

peglezen.jpg
「アイロン」Peglezen

非常に細長い三角形の土地に建てられた建物。青空市場のほうを向いた鼻先には旗の掲揚ポールがある。

    
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H教授なんて書くと、身近な人たちは誤解しそうだけれど、そんなことについて僕がここに書く理由はない。H教授というのは、リュブリャーナ大学のスロヴェニア文学の先生だ。
昨年度後半、リュブリャーナにいたとき、B先生に紹介していただいたH先生を、リュブリャーナ滞在も終わり近くになって、研究室に訪ね、スロヴェニア文学の現況について、いろいろとお話を伺った。とても気さくな方で、もっと早くにコンタクトをとっていなかったことを後悔した。

zganje_h.jpg
H教授のプラム酒
スロヴェニア人はながらく自分たちの国家を持たず、言語・文学こそが彼らのアイデンティティの拠り所になっていたとか、だからスロヴェニア人はとても文学的な民族なのだ、とかいったことはよく言われることなんだけれど、別にスロヴェニアでの文学の地位は、たとえばドイツなどの国以上のものではない、スロヴェニア人が文学的国民だというのは一種の神話だ、といった認識を披瀝してくださって、ああ、なるほどと思い、すごく健全だなとも思った。

のだが、それがここで書こうと思うポイントではない。面白かったのは、先生の研究室に入ってまず出していただいたのが、テランのリキュールだったことだ。

    
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本のタイトルは『りんごの本』だが、頁を繰っていくとさまざまな果物が次々に現れる。色が鮮やかだし、一頁おきに透明フィルムになっていて、それをめくると果物の断面図が現れたり、なかなか楽しい。最後に出てくるのがベリー類。大きな赤い苺(ストロベリー)の描かれたフィルムのかげに、いろいろな漿果の絵が隠れている。

livre_de_pomme.jpg
で、この頁のテクストが、「さんぽをしたとき、立ちどまってよくみてごらん。野イチゴ、ラズベリー、ブラックベリー、ブルーベリー、コケモモ、いろいろみつかるかもしれないよ。」...これはフランスのガリマール社の絵本の翻訳なのだ。日本で散歩をしても、犬が棒に当たることはあっても、私たちがこういった果実にぶつかることは、残念ながら、まずない。

実は、ヨーロッパに行った時のささやかな愉しみの一つが、「さんぽをしたとき」、こうしたベリー類に出会うことなのだ。

    
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...というのは、もちろん、中島義道氏の、あとの諸作はどうでもいいぐらいすぐれた江湖デビュー作(いや、ウィーン本のほうが先か)のタイトル。川端康成のもじりですね。

三月半ばに日本に舞い戻ってきて、まずはあえて成田に降り、神奈川県の某小都市にしばらく滞在しておりました。商店街の街頭広告放送は健在でした。小さな商店が、それぞれに、シロート臭い田舎臭いコマーシャルを流していく街頭放送。なかなかせつないものがあります。

関西は阪神間の某市の公立中学。校舎には「心で野球を!」という意味不明の幕が掲げられております。毎日、3時ごろだったかな、誰もいない校庭に向かって、ということは近隣の住宅に向かって、毎日同じ、泰西名曲を切り刻んでメドレーにしたものを流しておりました。少し離れたところに引っ越して、幸いあれを耳にすることもなくなりましたが、いったいあれはどのような教育的配慮によるものだったのだろう? 付近住民はなぜなにも言わないんだろう? 学校の近くに落ち着くということはありえない。孟子のお母さんならもう1回引っ越ししなければなりません。孟母四遷。

    
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間があいてしまいました。どうも、「忙しくて短く書いている暇が無い」の典型のような、整理のできていない、冗長な書き方になってしまっていてごめんなさい。

ljubljanica0603.jpg
3月上旬、雪の残るリュブリャーニツァ

茶道などに造詣の深い方が、それを海外で紹介されること自体を否定しているわけではないのです。言いたかったポイントは、われわれが「あっち」を捉まえる態度のこと。われわれが、あちらに住むのであればことさら、スロヴェニアの、日本で言えば歌舞伎や茶道にあたるようなものにばかり注目していてはならない、という当たり前のことです。

たとえば、前にこのブログでも触れたクレントだけでスロヴェニアを語るのは不可能でしょう。あれも「突出していてパッケージ化しやすい」部分ですけどね。

    
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文庫版になった清水義範の『はじめてわかる国語』を読んでいたら、唱歌「故郷」の「つつがない」という単語を説明して、「ツツガムシがいない」「ツツガムシ病がない」から来ているという説を引いていた。そう言えば、「ツツガムシ病」という病気のことも、「つつがない」がそこから来ているのかもしれないという語源説も、小学生ぐらいの時にどこかで読んだ気がするが、すっかり忘れていた。

    
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昨年のエントリでヨーロッパのダニについて取り上げた。山野に生息していて、人が通ると知らない間に食いつき、血を吸って膨れ上がるダニ。何より、ライム病と脳炎という二種類の重病の病原菌を媒介することから警戒しなければならないという話。

そんな話を書いておきながら、その後、実は昨秋のスロヴェニアで、子供がダニに食われてしまった。これもエントリに書いた、スリウニツァ山に登ったときのことだ。二三日後、下の子供が、右耳の後ろのあたりが少しふくらんでいるみたいで、押すと痛いと言う。見ると、小豆粒ほどにふくらんだダニが食い込んでいた。それまで気付かないのだから、以前に書いた「噛まれるとひどく痛くかゆいらしい」というのは誤りだったことになる。訂正します。あれだけしっかり食い込んでいて最初気付かないというのは、ウチの子供がニブいのかもしれないが、それだけではないと思う。おそらく、このダニには、人間の痛覚を避けて食いつく能力が備わっているのだろう。
    
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別に海外からでなくてもいいのだけれど、海外に住んでいて日本に電話するときなどは、料金の点から Skype などのいわゆる IP 電話が圧倒的に有利になる。リュブリャーナにいたあいだも、日本に電話することはそれほど多くなかったし、むしろ日本との電話連絡は避けていたのだが、たまに必要になったときは、Skype や Gizmo が役立った。
skype.pnggizmo.png

    
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ヨーロッパに出かけたときには、よく靴を買う。ファッションのことはあまり知らないし、ブランドもたいして気にしてこなかったし、手入れに気を使うわけでもないのだけれど、これまでドイツで自分用に買った靴はたいていイタリア製だったと思う。

www.peko.si.jpg

自分の靴よりも、サイズがどんどん大きくなる子供たちのための靴を(一人で行ったときは「お土産」に)買って帰ることが多い。ドイツだと、安心して買えるのは Elefanten とかイタリアの GEOX とかといったブランドの子供靴。日本で売られている靴は、特に子供靴がひどい。いろいろなキャラがついていたりするのは好き好きとしても、「歩く」ことは考えられていないへろへろべこべこなものがあまりに多い。もちろん小さな子供は究極マンだのムシ王だのごめんライダー鼾だのに魅かれる。でもそういうのが付いた靴とまともな靴を履き比べさせると、ちゃんとまともな靴のほうを選ぶから面白い。履き心地がまるで違うのだ。今回、子供たちの靴は、帰国直前に、ツァンカル通り Cankarjeva cesta のシュティーフェルケーニヒ Stiefelkönig (名前から分かるようにドイツ系)の店で GEOX のものを買った。

子供たちには GEOX の靴を買ったが、自分用にはスロヴェニア製の靴。ペコ Peko というメーカーだ。

peko_logo.jpg

    
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前の「日本のことも知らないのに〜」という紋切り型のバリエーションに「外国のことを理解するにはまず日本のことを知らなければならない」というのがあります。こいつも、つい口にしてしまう人が実に多いですね。もちろんこのセリフも、先のものと同断で、「日本のことを知る」ことを促すよりは、「外国」に近づくことを禁ずる機能を果たしている場合が大部分です。考えてみれば、なんとも不思議な断定です。なぜ「まず」なのでしょう。

koerbe.jpg
リュブリャーナの青空市場にて

    
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Yさん、少し言葉が足りなかったような気もするので、補足しておきたいと思います。

dsc01130.jpg
Škofja Loka にて

Yさんご夫妻は「海外」での生活はほとんど初めてですよね? そのときに、あまり「日本」を背負う必要はないのではないか、と。

でもまず少し別の「問題」からお話ししましょう。
たとえば、多くの人がつい口にする言葉に、「日本のことも知らないのに〜なんて」というものがあります。でもそれはおかしい。

    
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昨夏、TRAVELLING BY STEAM TRAIN ALONG THE BOHINJ RAILWAYのツアーに乗って、まだそのことを書いていなかった。蒸気機関車の牽く列車でボヒンを通ってソチャ川方面まで行くツアー。6月中旬から9月中旬にかけて8回ほど行われる。

muzejski_vlak.jpg
「博物館列車」(ツアー会社のサイトより)

これほどサービス精神旺盛なツアーもあまりないのではないかと思う。

    
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半年は短い。こんなタイトルにしたら、書くべきリストは無限大だ。スロヴェニア国内の旅に限っても、行っていないところだらけだ。カルストも今回は歩けていない。スロヴェニアの最高峰トリグラウ(トリグラフじゃないってば)は実はかつて東肩の小トリグラウ Mali Triglav までしか登っていないので、その主峰をきわめたいところだったが、それもコブ付きで夏が天候不順だった今回は到底無理だった。

ジジェクは今のアルゼンチン人の奥さんとの間に子供ができて、ほとんどあっちに行っていると聞いた。だからリュブリャーナでお目にかかれるとは思っていなかったが、いい機会だからここで少しじっくりラカンでも読みたいと思って、Folio 版のエクリと英訳を持参した。それも全然ダメ。せめてズパンチッチ(ジュパンチッチじゃないってば)にでも会っておくのだったかな。

スロヴェニア語の習得が思うように進まなかったことは言わずもがな。

    
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