リュブリャーナ日記 2005/06: september 2005アーカイブ

スロヴェニアを主題とするとてもすぐれた英文 blog The Glory of Carniola の記事 Slovenia: The Movie で教えられたのだけれど、スロヴェニア政府のPR局のサイトに、スロヴェニアを紹介するムービーが埋もれている。1995年の制作。フォーマットも QuickTime、RealPlayer、Windows Media と各種あるし、サイズもいろいろ。この種のPR映画の賞を三つ受賞したというだけあって、なかなかよくできている。

スロヴェニアって、どういうとこ? という方、ぜひご覧あれ。
スロヴェニアを知っている方は、登場する場所(ま、だいたいの「名所」が網羅されている感じです)の何割ぐらい言い当てられるか試すのもいいかも。

ヴァイオリンを弾いている女の子の手首がちょっと気になるなあ…。いや、手首フェチとかじゃなくて純粋に奏法の問題として。

ドイツの Mac ショップ GRAVIS からスロヴェニアに送ってもらった荷物の輸送状況を調べるために使ったのが、これ。

Package Tracker - Monkey Business Labs
Mac OS X の Dashboard 用ウィジェット(フリーウェア)。FedEx、UPS、DHLの発送状況が調べられる。それぞれのトラッキング・サイトから情報を取ってきて表示しているだけだが、さっと見られて便利。

Packagebig-1

スロヴェニアで Mac を使うには、多少の困難が伴う。持ち込んで使う分にはそれ自体はもちろん問題ないのだが、故障したり、Apple 製のちょっとしたものを手に入れようというときには、少々困る。店がないのだ。

日本ではもちろん、スロヴェニアの周囲のドイツやスイスやオーストリアやイタリアでも、オンラインの Apple Store で簡単に注文ができる。ところがアップルストアはそれぞれの国内にしか販売しない。ほんの隣の国なのに、なんとも不便だ。

Apple Store

Apple Store - Europeの地図を見れば分かるが、「東欧」は一面のグレーになっていて、Apple Store がない。(しかもこの地図のスロヴェニアにはクロアチア領のイストラ半島まで含まれてしまっている。ないがしろにされてますね。あとフィンランドに Apple Store がないのが意外。ポルトガルもないんですね。西欧でポチッとグレーなのは、ルクセンブルクとアンドラか。)

次に Apple - Central Europe, Middle East & Africa (なんとも大ざっぱなまとめ方だなあ)の販売代理店リストを見ると、ブルガリアやルーマニアやクロアチアやハンガリーやウクライナにはあるのに、スロヴェニアはない。うーん、なぜだ?

"hišna gora Ljubljančanov" という言い回しをどう日本語にしようか、少し考えてしまった。「リュブリャーナの人々のホーム・マウンテン」という「日本語」も考えたのだが。

それはともかく、シュマルナ・ゴーラ Šmarna Gora というのはそういう山です。少し前、JMM の成田真巳さんの記事にも書かれていたけれど、リュブリャーナの人たちはほんとうによくここに登る。リュブリャーナの北西すぐ近く、標高669mの小さな山。ちょっと歩き慣れた人なら、登りに一時間もかからない。リュブリャーナ盆地から、北西のクラン Kranj やシュコフャ・ローカ Škofja Loka といった町までの間に広がる平野部の真ん中に、ぽこんと突き出している二子山。スロヴェニアの人々にとって、登山というのはスキーなどと並んで「国民的スポーツ」であるようなのだが、リュブリャーナという「都会」からは最も手軽に出かけられる山がここになる。成田さんも書かれている通り、早起きのスロヴェニア人は早朝から働き、3時頃にはとっとと仕事をやめて帰宅する人が多いが(実際その時刻、リュブリャーナ市内や周辺の道は渋滞する)、そうして平日の午後にここにやってくるケースも多いという。

ちょっと霞んでいるけれど、リュブリャーナの城山から望むシュマルナ・ゴーラ。空気が澄んでいれば、ずっと背後にトリグラウまで見えるはず。

Šmarna gora

9月下旬、一週間も雨が降り続いて、すっかり冷え込んだ後、この週末から久々によく晴れて暖かい日が続いている(とは言え、朝は霧が濃くて、11時頃にようやく晴れる)。日曜日、いまやリュブリャーナ人であるわれわれもこの hišna gora を見てこなければ、というので出かけた。

スロヴェニアを象徴するものと言えばこれ。

Kozolec

スロヴェニア語でコゾレツ kozolec (複数 コゾルツィ kozolci)、英語では hayrack、ドイツ語では「干し草のハープ」 Heuharfe と呼ばれる。(スロヴェニア語版 Wikipedija の記述:kozolec

数本の支柱に、何本もの横木が渡してあって、ここに刈り取った牧草を掛けて干すのだ。二つのコゾレツを平行に配し、上に屋根をかけ、貯蔵用の二階部分を持たせた構造のものもある。さまざまな形態のヴァリエーションのイラストは、ここで見ることができる。

牧草は夏秋の2回、刈り取って、冬のために貯蔵する。そのまま貯蔵したり、地表に置いておいては、湿気のために、乾燥に時間がかかる。それを、コゾレツに掛けて、太陽と風に乾かしてもらうのだ。

主にリュブリャーナから北西のゴレンスカ地方で無数に見られる。見られることは見られるのだが...。

スロヴェニアのユーロ正式導入はまだ少し先(2007年)。スロヴェニア・トラルとユーロや円との換算は、必要や興味から、案外ちょくちょくする。

Mac OS X の「計算機」でもレート取得と換算はできるのだけれど、少し使い勝手が悪い。Dashboard widget の一つとしてシステムに付いてくる「単位換算」でも通貨換算はできるのだけれど、扱える通貨が限られている(スロヴェニア・トラルはない)。なんでこんなに中途半端なのだろう。サードパーティ参入の余地を残しているということかもしれないし、Dashboard のほうはうまく hack できれば表示可能な通貨も増やせるのかもしれないけれど。

Easycurrency-1

8月に行った場所の一つ、海岸のイゾラ

イゾラ自体、スロヴェニアのわずかなアドリア海岸部に並ぶ町の中では、地味なほうかもしれない。ピランはれっきとした古都だし、ポルトローシュは、海辺の一大リゾートだ。イゾラにはヨットハーバー(マリーナ)はあるけれど、通りすがりの旅行者にはあまり関係ない。

それでも、そのヨットハーバー沿いのプロムナード( sončno nabrežje 日なた河岸、という名前が付いている)は、いくつもの飲食店が並んでいて(ディスコもある)、海のすぐ前に出るテラス席は、夏場、多くの人々で夜遅くまでにぎわっている。そういう店の一つ、たとえばパランガル Parangal で、各国からの旅行者とともに魚介の料理に舌鼓をうち、日本と違ってあまり潮の匂いのしない潮風に吹かれながら、杯を傾けるのもいい。

でも、僕が気に入っているのは、ちょっと引っ込んだ、小さな入り江を思わせる小さな食堂。

Koral

8月初旬、こっちへ来てまず第一にやったことの一つは本屋へ行くこと。ひとまずはスロヴェニア語の辞書と参考書を漁ってきたのだった。ここ2、3年で出版されたものが多く、収穫はかなりあった。出費も...。

Knjige

Pošta Slovenije

二度目、税関郵便局に出頭してきた。家人の実家から、食料品などこまごまとしたものを詰めた小包を送ってくれたのだ。それがすんなりとはウチまで配達されない。

まず郵便局から通知が来る。あんた宛に小包が来ているから税関郵便局まで来なさい。

スロヴェニアのスーパーで時々見かけて、子供用に(という名目で)買っているこれ。ヨーロッパの各国で売っているようだ(momo さんのOviedo 滞在記では、スペインで購入されている)。Kinder Joy という卵大で卵形のパッケージのお菓子。名称からしてもともとはドイツかオーストリアのものだろう。半分におまけのフィギュアが、半分にチョコレート菓子が入っている。近ごろの日本で造形される食玩フィギュアの精巧さには及ぶべくもないが、アステリックス・ファンには見逃せないところだろう。悩ましいのは、アステリックス・シリーズのフィギュアが出てくるとは限らなくて、まったく関係のない、わけのわからないものが出てくることも多いという点だ。

Kinder Joy

スロヴェニアにはゴキブリ・ワインがあるのだ。Ščurek シチューレクというこのワインの名前は、まぎれもない、ゴキブリを意味する。

Ščurek

6月から9月の毎週水曜日の午後5時から6時半、まったくスロヴェニア語を知らない人を対象に、ちょっとしたスロヴェニア語教室が開かれている。場所は街の真ん中、青空市場の脇のスロヴェニア・ツーリスト・インフォメーションの建物(写真。Krekov trg 10。三本橋の袂にあるのはリュブリャーナ限定のツーリスト・インフォ。青空市場脇のこちらはスロヴェニア全土が対象のようだ)。事前登録無用、受講費無用。筆記用具だけ持って、いきなり水曜の5時5分前に行きさえすればよい。

TIC

リュブリャーナにて。あるバスの運転席上方の注意書き。

Prosimo, med vožnjo se ne pogovarjajte z voznikom. の "ne" が黒く塗りつぶしてあった。
実際、お客はこの注意書きをしっかり守っていた。つまりずっと運転手としゃべっていた。

車体はドイツ製。右下には一回り小さくドイツ語で同じことが書いてあるが、こちらの否定辞は消されていない。
Die Unterhaltung mit dem Fahrer ist während der Fahrt nicht gestattet.
スロヴェニア語ならいいけどドイツ語ではしゃべっちゃいけないのね。

avtobus

8月末の雨の日曜日、リュブリャーナの街の北の方、交通量の多い Celovška cesta の道路ぎわに立っていた。二車線のまっすぐな道。立っていたのは道路の西側。目の前を、南に向かう車が、かなりの速度で、かなりの数、通り過ぎていく。その六割はドイツからの車で、ことにキャンプ用のキャビンを引っ張ったり、屋根にボートを載せている車のほとんどは、「D」のステッカーを付けていた(ドイツの車のしるし)。やれやれ。残りがスロヴェニアの車で、そこにオランダやベルギーやチェコの車が混じる。リュブリャーナの外周をめぐる環状道路が一部未完成なおかげで、南に向かう車はみんなここを通るらしい。

雨の中、そんなところに突っ立って何をしていたかというと、ポストイナへ行くツアーバスを待っていたのだった。

スロヴェニアのビールと言えば、ずっと以前から赤いやつと緑色のやつだった(ちょうど補色になっているところが面白い)。それぞれ Union ウニオン、Laško ラシュコという。ワインのような選択肢はない。小さな生産者が減少傾向とはいえまだまだ健在で各地の地ビールこそがビールであるドイツとは違って、スロヴェニアは早くからこの二つに絞られていた。まあそもそもが四国ほどの面積の国だし、それに小さな生産者も東部にいくらかはあるらしい。

Pivo

写真はすべて0.5L。缶はどちらも179SIT(ちょうど100円ぐらいか)、瓶はUNIONが159SIT、Laško lahko (ライト)が135SIT。

Traminec トラミネッツ というのは、名前から推測される通り、ドイツの Gewürztraminer ゲヴュルツトラミーナ のスロヴェニア版。日本ではアルザス(フランス)産のものでよくお目にかかる。この品種がワイン通でもない僕らにとって嬉しいのは、誰だってこの香りと味はゲヴュルツトラミーナだとはっきり分かることだ。いかにもブドウらしい、マスカットのような強い香りと、それでいて、甘口のものはもちろん、辛口に仕上げてあってもフレッシュでありながら優雅にまるい味。

Traminec

このシポンというのも、他の国では見かけない品種名だ。Mura 川と Drava 川に挟まれた、クロアチアとの国境付近にあるリュトメル・オルモージュ地域でよく作られていて、かなり古いこの品種は、原産地もこのあたりではないかと言われている。

Šipon

スロヴェニア・ワインにツヴィチェク Cviček という種類がある。スロヴェニアでは、ブドウの品種名をラベルの真ん中に書いている場合が多く、これもそうかな、と思ったし、ドイツで出版されたスロヴェニア・ガイドブックで、これをブドウの品種であるかのように紹介しているものもある。

Cviček

スロヴェニア・アルプスの山懐、ボヒンスカ・ビストリツァのペンション・Tを訪れるのは3年ぶり、5回か6回めだろうか。初めてやって来たときのペンション・Tも「普請中」だった。母屋しかなくて、1階は広い食堂とバー。道に面して一段高くなった母屋の正面の幅いっぱいが、屋根のついたテラス席。客室は2階と3階にあって、いずれもあまり広くなく、数も少なかった。そして母屋の後ろに斜めに延びる格好で、増築中の新館が雨ざらしになっていた。日本の木造家屋は、最初に屋根まで含んだ骨組みが姿を現すが、こちらの建築は、まずいわば蓋を欠いた石の箱を作る。建築中の、屋根のない家は、文字通り家の体をなしておらず、吹きさらし、雨ざらしの印象を与える。新館は長らくそんな状態だった。旧東欧的というか南欧的と言うか、何年経ってもそのままで、完成したのは五年前ぐらいだったか。

リュブリャーナでの住居が決まって、もともと来ているケーブルテレビのネット接続を申し込んでいるのだが、なかなか開通しない。(これを東欧的とか南欧的とか言うべきではないだろう。日本でも一時期、某プロバイダの「放置プレイ」がしきりに話題になっていたし。)こちらでの ADSL の普及率はかなり高いようだが、この賃貸アパートでは使えない。光の話はほとんど聞かない。だからケーブルが唯一の選択肢。大学まで行けばネットは使えるはずなのだが、まだ家のことや子どもの学校のことなどでばたばたしていて、ほとんど足を運んでいない。アパートのわりあい近くにネットカフェがあったので、PowerBook を背負ってたまにそこへ行く。

Cyber Cafe Xplorer

リュブリャーナの街は、リュブリャニツァという川が貫流していて、それがまた街の表情を豊かにしている。プレチニクの設計した有名な三本橋はこの川にかかっている。河岸のプロムナードには、暖かい季節、カフェが店を出し、人々で賑わう。アクセサリー商や、セーヌ河畔やマドリッドの植物園界隈のような古本屋も店を出す。セーヌ川よりよほど狭いけれど、今ではバトー・ムーシュのような遊覧船も出ている。でも、さらに興味深いのは、リュブリャニツァがここにやってくるまでの閲歴、もっと上流の方だ。

Vrhnika

なぜスロヴェニアの山地が好ましいのだろう、と思っていたら、Wolfram Guhl, Nationalpark Triglav. Ein Bergparadies in Slowenien. Klagenfurt: Verlag Carinthia, 2001 というガイドブックのコラム的な記事に、こんな文章を見つけた。

8月末、3週間の遊牧生活(うん、まあ、子供たちにあちこちで草を食ませていたようなものだ)を終えて、ようやくリュブリャーナでの住まいを決めた。

svetilka

日本から送った段ボール5箱が届いた。というか取ってきた。

今回、リュブリャーナの街では、最初はほとんど日本人を見なかったが、日本のお盆休みが始まったあたりからちらほら見かけるようになった。

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