一定の「専門書」と、リュブリャーナ大学の授業の下準備のために日本のアマゾンから一括して注文した十数冊の村上春樹(大部分は文庫本)を除くと、日本から持参した本は多くない。その中で、出発直前に目にとまって荷物に放り込んできたのが伊丹十三の『ヨーロッパ退屈日記』。大昔に20代後半の伊丹十三が書いたこれが、とても面白かった。すごくまともで鋭敏な感覚の持ち主の文章。当時の日本の平均的認識とのギャップをどうおさめて読ませていくかに苦労しているのも面白いし、それをまた極めて巧みに処理している。

その後40年も経って、日本は当時の伊丹十三が嘆いている姿よりもまともになったところも多少はあるけれど、大半は今でも伊丹の指摘がそのまま通用する。
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