今回、ムアバッハに入る前の中継点としてコルマールの街に宿泊した。コルマールへは、パリからストラスブールで乗り換えて電車で。コルマールはストラスブールやミュールーズと並んでアルザスを代表する美しい街。

数多い木組みの家、小ヴェニスと呼ばれるピトレスクな運河の一角があり、ドイツ料理を洗練したような郷土料理、上質の白ワインが味わえる。
これは Brasserie Les Dominicains で食べた Quiche Lorraine。ワインは地元のミュスカ。

コルマールからサン・バルナベへは、自家用車やレンタカーを使えば問題ないが、そうでない場合は、コルマールからタクシーで30ユーロあまり。コルマールから3.1ユーロのバスでGuebwiller ギュープヴィラーまで行き、そこからタクシーに乗れば10ユーロ。しかしGuebwillerのタクシーは街はずれにあって分かりにくい。
コルマールの駅前からは、一日三本(週末と祝日は2本)、ライン川にかかる橋を渡ってドイツのブライザッハに行くバスが出ている。ブライザッハから環境政策で有名なフライブルクまでは電車で30分。
#宿泊:ムアバッハの村に Hôtel Domaine Langmatt。ムアバッハの少し手前に、今回泊まった Hostellerie St-Barnabé。グラン・バロンの肩にホテル・レストラン Chalet-Hôtel du Grand Ballon (tel.: 03 89487799, Fax: 03 89627808)。登山客用の大部屋の他に、トイレ・シャワー付きの部屋も9室ある。
#Ferme Auberge フェルム・オーベルジュというのはもともと牧畜農家が副業でやっている、登山者に食事を出してくれる山小屋。酪農家たちは、毎年、5月末に、牛たちを山の上の牧草地に上げ、9月末に下に降ろす。ヴォージュ山脈の酪農業は、第一次世界大戦の戦場となったことで大きな打撃を受けた。そこからの打開策として、また登山客がちょうど多くなってきたことを受けて、このフェルム・オーベルジュははじめられた。1971年には上部ライン地区の35の酪農農家が「自然に帰ろう」という標語のもとに Ferme Auberge の協会を組織し、やがてフランスの他の地域を含む組織となった。その土地の、農家の食事そのままを提供するのが本来の趣旨で、当初は、出す料理の70パーセントが自家生産でなければならないという厳しい規制があったが、これは1982年に緩和された。料理の材料の一部に、アルザスやヴォージュで生産されたものを使えばいいだけになったのである。典型的な「酪農家の食事」repas marcaire ルパ・マルケールということになっているのは、前菜にレバーペーストとサラダ、メインディッシュに豚の肩肉の薫製(collet)と、灰の中で焼いたジャガイモ(roigebrageldi)、デザートにシアスカース siasskas と呼ばれる、一種の凝乳にキルシュヴァッサーと砂糖を入れたもの、あるいはコケモモのトルテ、といったところ。もちろん、もっとシンプルなメニューもたくさんある。持ち帰り用に自家生産のチーズを販売しているところも多く、一部のフェルムでは宿泊もできる。夏場の利用は特に問題ないが、山の上での放牧が終わる9月以降は、週末だけ開けるところ、午後6時から開けるところなどが多くなるので、地元の観光案内所 Office du Tourisme などで確認する必要がある。Guebwiller の観光案内所は、73, rue de la République, 68500 Guebwiller。電話番号は、03 89761063。ファックスは 03 89 765272
ちなみに、フランス・アルザス日本代表部のページはこちら。どちらかというと企業誘致のための宣伝サイトのようだ。この中の、「アルザスの特徴」のページ、「特徴」の11と12が取って付けたみたいで面白い。僕にとって大事なのは13なんですけど。
アルザスの地名の表記は難しい。アルザス方言というのは基本的にはドイツ語の一種で、地名もその系統のものが多い。ル・グラン・バロンというのはフランス式の名前だが(ドイツ語ではデア・グローセ・ベルヒ)、Murbach などは明らかにドイツ的な地名である。そのつづりをフランス式に発音(ミュルバック)しても通じるが、標準ドイツ語的な発音(ムアバッハ)の方が地元の感覚には近いように思われる。この一連の記事では、明らかなフランス語のほかは、ドイツ語的な発音に似せてカナ表記しておいた。


