German Cinema: februar 2005アーカイブ

このweblogの "German Cinema" というカテゴリーでは、まだ日本では公開されていないドイツ映画を中心に紹介している。ドイツ版の DVD なら手に入るという作品がほとんどだ。amazon.de は、CD-ROM 類は国外に売ってくれないが、音楽 CD や映画の DVD なら OK。

In Partnerschaft mit Amazon.de


日本国内で発売になったドイツ映画の DVD については、こちらが充実している。
ドイツ映画/ドイツ語映画データベース
僕にとっても、へえ、こんなの日本国内で出ていたんだ、という DVD がたくさん紹介されている。
あるいはここ。やはり日本版が出ているものが中心。
ドイツ映画情報
非常に丹念に集められている。ただし、固有名詞などのカタカナへの音訳には少し変なところがある。

海外版の DVD について、ここで念のために記しておくと、市販 DVD には、まず映像方式で NTSC と PAL の二つがある。NTSC は日本やアメリカ、PALはヨーロッパなどだ。この違いはVHSのときからある。ビデオテープは、アメリカで販売されているものは日本のプレイヤーで見られるけれど、ヨーロッパで販売されているビデオテープを日本の通常のビデオデッキで見ることはできない。

DVD には、この映像方式の違いに加えて、地域(リージョン)コードなる厄介なものが加わる。世界をいくつかのゾーンに分け、それぞれの地域に番号を割り振り、その番号が DVD ソフトと、DVDプレイヤーで一致しないと再生できないのだ。アメリカの地域コードは1、日本やヨーロッパの地域コードは2。地域コード1のDVDは、地域コード2のDVDプレイヤーでは再生できない。

そういうわけで、アメリカの DVD は映像方式は NTSC である点は○だけれど、地域コードが1だから結局×。
ヨーロッパの DVD は、地域コードはありがたいことに日本と同じ2で○だけれど、映像方式が PAL だから×。

つまりどちらも通常の日本国内向け家電DVDプレイヤーでは見られない。

では抜け道はないのか、というとそんなことはない。少なくともヨーロッパの DVD に関しては。

PAL だろうと NTSC だろうと、地域コードがなんだろうと見られてしまうプレイヤーも、ネット上で堂々と売られているのだが、ここでは紹介できない。それは置いておいて、実は DVD ドライブのついた Mac や PC では、PAL だろうが NTSC だろうが関係なく見ることができる。問題は地域コードだが、上記のように、ヨーロッパと日本の地域コードは同じ2だから、何ら差し支えない。地域コードが2とは違ったらどうかというと(PC の事情はよく知らないが)、Mac の場合、5回までは切り替えて使うことができるようになっている。それ以降は切り替えることはできなくなる。だから、日本国内で購入した Mac でも、地域コードを1専用にしてしまって、それでアメリカの DVD を見るということは可能なわけだ。そして、繰り返しになるが、ヨーロッパの DVD に限るなら、Mac 上で観るぶんには何の問題もないのだ。12インチの PowerBook では映画を観るには小さすぎる、というのなら、PowerBook を手持ちのテレビに繋げばいい。

    
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今朝の毎日新聞は、11面にわたって「日本におけるドイツ年 2005-2006」の特集を組んでいる。その第1面に久米宏のコメントがあって、この映画に触れている。(「ベル〈リ〉ンの奇跡」となっているのはおそらく編集側の勘違いだろう。)近々日本でも公開されるらしい。

昨年のベルリン映画祭でファティフ・アキンの『壁に向かって』が金熊賞を取ったとき、銀熊賞になったのが、ゼンケ・ヴォルトマン監督の『ベルンの奇跡』 "Das Wunder von Bern" だった。

das_wunder_von_bern.jpg←ドイツ語版DVD。PAL方式なので、日本の家電DVDプレイヤーでは再生できない。

1954年、スイスのベルンで行われたワールドカップで、西ドイツが奇跡的な逆転優勝を果たした実話に基づいた物語。
久米宏が言っているように、「サッカーファン必見」、サッカーファンにはたまらない、のだろうけれど、映画的にはたいした作品だとは思えない。10年間ソ連に抑留されていて、ようやく帰還してきた父親と、その息子の物語が絡められているのだが、なんとも中途半端に終わっている。父親役のペーター・ローマイヤーに顔つきが似ているだけで採用されたのではないかと思われる子役のルイス・クラムロートにまるで魅力がないのも致命的だ。とってつけたような紅一点である記者の妻の役、カタリーナ・ヴァッカーナーゲルもまるで浮いている(まったく必然性のない、ドラえもん的サービスカット?の入浴シーンまである。B級作品の証し)。

強いて言えば、「戦後ドイツ」の状況や空気を伝えることには、ある程度成功しているようだ。重苦しく辛い時代状況のなかで、この54年のワールドカップ優勝がどれほどドイツ人たちを高揚させたかということも理解できる。

しかし、これが銀熊賞を受賞し、観客動員数も相当なものだったということは、なんと言っても一つのことを示していると思う。ドイツ人はサッカーが好きだ、ということだ。

    
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solino.jpg
Solino
←ドイツ語版DVD。PAL方式なので、日本の家電DVDプレイヤーでは再生できない。

ファティフ・アキン作品紹介の続き。

1964年、アマート一家は故郷の南イタリアの田舎町ソリーノを離れ、北ドイツ(ルール工業地帯のデュースブルク)に移住する。製鉄と炭坑と雪(!)のある町。だがパスタは? ピッツァは? そこで一家はルール地方最初のピッツェリアを開いて大当たりする。母親のローザ(アントネッラ・アッティーリ)が必死で料理し、父親のロマーノ(ジジ・サヴォイア)が女性客に鼻の下を長くしているうちに、二人の息子たちジャンカルロ(モーリツ・ブライプトロイ)とジジ(バーナビー・メチュラット)は同じ女の子(ヨー:パトリツィア・ツィオルコウスカ)を愛するようになる。ジャンカルロはいかがわしい仲間と遊び歩き、ジジは映画製作を志すが、ロマーノは理解しようとしない。10年後、ローザは疲れ果て、家族は壊れ、ジャンカルロとジジの兄弟も不和となる。さらに10年後、二人がソリーノで再会したとき、それぞれの人生はどうなっていたか…。

2002年の本作 "Solino“ はアキンが初めて自作脚本ではなく、他人(Ruth Toma)の物語の映画化を試みたもの。イタリアからの移民一家の物語は、自身トルコ系移民の子であるアキンには思い入れ深いものがあったようで、しっとりとした佳品に仕上がっている。繰り返し見たくなる映画の一つ。

台本も演出もいいからということもあるだろうが、俳優たちがみんなうまい。両親役のアッティーリとサヴォイアも、中心となるジャンカルロとジジの兄弟を演じるブライプトロイとメチュラットもいいし、何よりその少年時代を演じるミケーレ・ラニエリと、特にニコラ・クトゥリネッリがいい(『ベルンの奇跡』のクラムロートとはえらい違いだ)。ヨーを演じるツィオルコウスカもうまいし、アーダを演じるティツィアーナ・ロダートもとても魅力的だ。いや、写真屋のクラウゼンさんを演じるヘルマン・ラウゼだって、ジジあこがれの映画監督バルディを演じるヴィンチェント・スキアヴェッリだっていい。つまり(アキン映画ではいつもそうだけれど)キャスティングにも隙がないのだ。

LINKS
映画 Solino 公式ホームページ。(ドイツ語)
映画 Solino についてのファティフ・アキンへのインタビュー(ドイツ語)
映画 Solino の紹介と批評。詳しい梗概もあり。(ドイツ語)
映画 Solino の紹介と批評。(英語)
映画 Solino を素材にした Goethe-Institut のドイツ語学習ページ

    
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今年のベルリナーレ(ベルリン映画祭)の受賞者が決まったようだ。金熊賞はビゼーの『カルメン』を南アフリカに置き移した南アの作品。審査員銀熊賞は中国の『孔雀』。銀熊賞の監督賞、主演女優賞は『ゾフィー・ショル 最後の日々』のマルク・ローテムント監督とユリア・イェンチュ。などなど。参加作品は52カ国から340本、うちドイツ映画は3本だったという。
Rundfunk Berlin-Brandenburg | Berlinale 2005 - Goldener Bär für "U-Carmen eKhayelitsha"

中国勢が目立つなあと思ったら、こんな事情もあるんですね。
新華通信ネットジャパン:04年、巨額を投じた中国映画が急増

    
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ベンヤミン・クヴァベック (Benjamin Quabeck) の映画は、若者が何かに一生懸命になって、最後は「犯罪者」になって終わる。"Nichts bereuen" しかり、"Verschwende deine Jugend" しかり。「青春ドラマ」を作ってこれほど臆面もなく「暗い」監督はいないだろう。ハリウッド的に脳天気におめでたい青春ドラマに対するアンチテーゼというにはあまりに脳天気に暗いように思われる。("Nichts bereuen" でも、ハンス・ヴァインガルトナー監督の "Das weiße Rauschen" でも悲惨な主演だったダニエル・ブリュールが "Good bye, Lenin!" の主役を射止めたことは、まことに慶賀すべきことに思われる。)
クヴァベックには、主人公たちを犯罪者にしてしまう社会や国家に対する批判があるわけではない。(それがあればいいというわけではもちろんないが。)ただ暗いのだ。もちろん、われわれは事後的に「青春」を美化しがちだし、その意味で クヴァベックは一定の「真実」を射当てているのだという見方も可能だろう。だが、その暗さは批判性を欠いた脳天気な暗さに見えてしまう。
クヴァベック映画のヴィーナス、ジェシカ・シュヴァルツにも不満がある。特に演技がうまいわけではない。演技を要求されてもいない。たんに(ドイツ女にしては?)美形なだけなのだ。その点、美人というのとは少々違うであろうにもかかわらず不思議な存在感と演技力をもつフランカ・ポテンテ(トム・ティクヴァ監督の『ラン・ローラ・ラン』。ハリウッドに行ってやった『ボーン・アイデンティティ』のリメイクは失敗だったが)や、演技を正式に学んだことがないにもかかわらず才能のきらめきを感じさせるクリスティアーネ・パウル(ファティフ・アキン監督の『七月』)あたりの魅力は際立つが、クヴァベックがこうした女優を使うことはない。

…と思っていたら、そのシュヴァルツが先日のバイエルン映画祭で最優秀主演女優賞を獲得した。一皮むけた、成長した、ということなのだろうか、監督がよかったのだろうか。"Kammerflimmern" という映画での受賞。監督はヘンドリック・ヘルツェマン、これは上に挙げた(こきおろした)クヴァベック監督の "Nichts bereuen" の脚本を書いていた人物で、弱冠26歳だという。梗概(たとえばここ)で読む限り、人物や状況の設定はいくつかのトム・ティクヴァ映画に似ているように思えるが、いずれ観てみたいものだ。

    
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「わが最愛の女(ひと)よ、ぼくは何千マイルもの道を歩んできた。河を渡り、山を動かした。ぼくは苦難を受け入れ、困難をいとわなかった。ぼくは誘惑に打ち勝ち、太陽に従った。きみの前に立ってこの言葉を言うために──愛している。」

ハンブルクの街角でアクセサリーを売るユリ(クリスティアーネ・パウル)。いつも前を通りかかるサエない見習い教師ダニエル(モーリツ・ブライプトロイ)になぜかぞっこんだ。夏休みの始まる日、ダニエルを振り向かせようとユリが仕掛けたトリックから、とんでもない大冒険が始まる。その晩出会ったメレク(イディル・ユーナー)こそわが生涯の女性だと思い込んだダニエルは、彼女を追って一路イスタンブールへ。バイエルン─オーストリア─ハンガリー─ルーマニア─ブルガリア。ロードムービーとドタバタ・ラブコメディとメルヘンをミックスした、ファティフ・アキン監督の初期の傑作。(2000年、ドイツ語/95分、日本未公開

im_juli.jpg
Im Juli
←ドイツ語版DVD。PAL方式なので、日本の家電DVDプレイヤーでは再生できない。

Im Juli を楽しむために知っておくといいかもしれないこと
ヒロインの名前、ユリ Juli は、ドイツ語で「七月」を意味する。物語が展開していくのも、七月だ。七月といえばドイツだって夏の日差しを感じることが多い。最初から最後まで、その太陽がこの物語のライトモティーフだ。(邦題は『太陽に恋して』とされているらしい。『七月』としてあったこの記事のタイトル訂正しました。)

冒頭でユリがダニエルに、太陽を身につけている女の子に出会うだろう、それがあなたの求めるべき女性だ、と「予言」するとき、もちろん彼女は自分自身のことを言っているので、その晩のコンサートに行くときも、その後も、太陽をモティーフにした服を身に着けている。しかし彼女は実はもう一つ、太陽を「身につけて」いて、それは最後の最後で明らかになる。

日蝕も効果的に利用されている。

映画は7月7日木曜日12時10分、ブルガリアのどこか、というキャプションのついたシーンから始まる。畑と荒れ地の中の道路を一台のベンツがやってくる。まもなく、あたりが暗くなる。日蝕だ。車は路肩に停まり、謎の男が降りてきて太陽を見上げる。
1999年8月11日の昼、現実にヨーロッパから中東におよぶ地域で、皆既日蝕が見られた。この日蝕は、Im Juli のストーリーを考えていたアキンをインスパイアしたはずだ。
この日蝕は、ダニエルの長い回想シーンが続いたあと、あとのほうで再び登場する。そこで明らかになるように、それはまさにダニエルがユリの姿を見失った瞬間であることに注意しよう。

そしてトルコのブルガリア国境からイスタンブールに向かう長距離バスが休憩停車した食堂で、反対方向に向かうメレクに偶然に出会い、そのメレクの乗ったバスを見送るダニエルが、背後に昇ってきた太陽に気づくとき、彼は自分の求めるべきものをはっきりと悟る。

ところで、貨物船から放り出されたダニエルを拾ってくれるルナのトラックには "YU" というステッカーが貼られている。地続きのヨーロッパでは、車にこのようなステッカーを貼ることが義務づけられている。ドイツならば "D"、スイスならば "CH"。 "YU" はユーゴスラヴィアを表す。その上にスプレーで "EX"と書かれているのは、崩壊した「旧」ユーゴの意。

俳優について
ダニエルを演じるのは『ラン・ローラ・ラン』や『es』で日本でも知られるようになったモーリツ・ブライプトロイ。1971年8月13日、ミュンヘン生まれ。近頃のドイツ映画のいたるところに顔を出す。分厚い唇、パーマのかかった黒い髪、うるんだ大きな瞳という、ちょっと南方的なドイツ人離れした風貌。Im Juli の冴えない教師、『ソリーノ』のイタリア系移民の息子、『ラン・ローラ・ラン』のヤクザのパシリ、『ノッキン・オン・ヘヴンズ・ドア』の間抜けなヤクザなどなど。それぞれの役の演じ分けにも感嘆させられるが、共通点ははっきりしている。いずれもどこか情けない男の役で、それがうまいのだ。

ヒロインのユリを演じるクリスティアーネ・パウルは1974年5月8日、ベルリン生まれ。演劇学校などで学んだことはなく、Im Juli 制作の直前に医学部を卒業しており、その後も二足のわらじで活躍しているようだ。

アキンの前作にして劇場デビュー作、"Kurz und schmerzlos"で主演だったメフメット・クルトゥルスが、重要な脇役、イサを演じている。また、本作でブダペストのいかがわしい酒場の店員としてちらりと姿を見せるビロル・ユネルは、2004年のアキン映画『壁に向かって』の主役として強烈な演技力を示すことになる。

ところで、Im Juli では、監督ファティフ・アキンその人が、チョイ役で出演している。ハンガリー/ルーマニア国境のルーマニア側の国境警備兵の役。お見逃しなく。

作品について
この作品は、ドタバタ・ラブコメディであって、御都合主義というか、都合のいい「偶然」がストーリー展開に何度も作用する。だがもちろん、アキンはそのことをじゅうぶん意識している。(DVDに収録されたインタビューテキストから)

Wir haben die Tatsache der vielen Zufälle in der Geschichte diskutiert und kamen zu dem Schluss: Wenn das Publikum diesen Schritt mitmacht, macht es auch den mit. Mag es die Geschichte und die Figuren, wird es auch den nächsten mitmachen. Es entsteht eine Art Konsequenz in diesen Zufällen.

こういう展開、こういうキャラに、ここまで付いてきてくれた観客なら、次の一歩もつきあってくれるだろう、そんなふうにスタッフの中で議論し、考えて、進めていったというのだ。その結果この「偶然」の連鎖のなかに、ある種の一貫性が生まれてきた。それは一種シェークスピア的、「真夏の夜の夢」的なものだとも言う。実際、それは成功していると思われる。一つのとても魅力的なメルヘンとして、この作品は成り立っているのだ。

Im Juli はファティフ・アキン監督のオリジナルのシナリオによって作られているが、Selim Özdogan がノベライズを行っている(Im Juli. Europa Verlag, 2000)。映画が主としてダニエルを中心に追い、ダニエルの視点から描かれているのに対して、Özdogan による小説は、ユリ(とメレク)の視点から書かれている。原作に忠実でありながら、映画では描かれていないユリの単独行動のあいだの冒険が語られていて、興味深い。いったいユリはどうやってイスタンブールまでたどり着けたんだ?と思ってしまった人は、一読して無理矢理納得するようお勧めしたいが、日本語訳はない。

    
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いま、ドイツの映画監督で最も期待されるのがファティフ・アキンだ。劇場用長編デビューは1998年の "Kurz und schmerzlos" (「短く、痛みもなく」)。アキンの出身地ハンブルク=アルトナを舞台に、トルコ系、ギリシャ系、セルビア系のチンピラの友情を描いた悲劇作品。数々の賞を獲得している。

アキン(トルコ語読みでは「アクン」と書くのが近そうだが、ドイツでは「アキン」で通っているようだ)は、トルコからの移民夫婦の間にハンブルクで生まれたトルコ系二世。第一言語はドイツ語だ。早くから映画に志をもち、高校卒業試験=大学入学資格試験合格後、ハンブルクの造形美術大学に入学。1993年からは、いくつものテレビドラマに脇役として出演した。が、おきまりの「トルコ人の役」を演じさせられることにやがて飽きて、みずから短編映画を撮り始める。

2000年公開の第2作、「七月」 "Im Juli" は一転して移民の世界を離れ(トルコ系ドイツ人は重要な脇役として登場するし、舞台は最後イスタンブールに移るが)、ドイツ人カップルが主役のラブコメディー。

第3作「ソリーノ」 "Solino" (2002)は、再びドイツへの移民、といってもイタリアからの移民の家族の20年を描くしっとりとした悲喜劇作品。

第4作が、第54回ベルリナーレで金熊賞(最優秀賞)を受賞した「壁に向かって」 "Gegen die Wand"。再びハンブルクのトルコ人の物語、今度は破滅型の男女が出会ったことから生じる恋愛悲劇だ。

これまでのこれらの作品については、それぞれ改めて書くことにする。

    
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