Bons voyages: julij 2005アーカイブ

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スロヴェニアの観光地としては日本でも比較的よく知られたブレット湖 Bled の北方4キロほどのところに、ヴィントガル Vintgar の峡谷がある。狭く深い峡谷のことを、日本の登山用語でも英語でも、フランス語から来た単語で gorge (ゴルジュ=のど)という(ドイツ語なら Schlucht か Schlund、あるいは Klamm か)。ヴィントガルは際立ったゴルジュだ。

そのままならば徒渉したり泳いだり(しかも水温は非常に低く、流れは速い)断崖をへつったりの備えがなければ行けないようなところだが、木の桟道が整備されていて、気軽に訪れることができる。この桟道は、1893年にゴーリェ観光協会によって最初に設置され、今日にいたるまで整備維持されてきている。両端には小屋があって、管理のための入山料を取られる。(ブレットからすぐ近くであるにも拘らず、そもそもアクセスの困難だったこの峡谷は、ラドウナ川の水量が異常に少なかった年、1891年になって、当時のゴーリェの市長 Jakob Žumer ヤーコプ・ジューメルと、測量士で写真家の Benedikt Lergetporter が「発見」してその美しさに感嘆し、ただちに、多くの人々が訪れることができるよう、桟道の整備を開始したのだという。)

ガイドブック Lonely Planet Sloveniaの著者 Steve Fallon によれば、Vintgar は「もっとも手軽にもっとも満足の得られる日帰り遠足の行き先」で、これは言えてる。4月中旬から10月の午前8時から午後8時まで。それ以外の時期は閉鎖される。峡谷の両端にある小屋では飲み物や軽食が手に入る。峡谷の入り口から出口まで、ゆっくり歩いても1時間程度。桟道の板の上を歩くのが大部分だから、比較的軽装で済む。

ブレットからは徒歩か、バスで Podhom ポドホムまで。バスは、6月末から9月中旬まで、Alpetour というバス会社がブレットのバス駅から毎朝9時半に走らせている。歩くなら、ブレットのバス駅から北西に Prešernova ulica プレシェレン通りを行き、Partizanska cesta パルチザン通りに入って北に向かい、それから牧草地の中をまっすぐ北西に向かう Cesta v Vintgar ヴィントガル通りを歩く。すると Podhom の集落に着くので、そこから道標に従い西に1.5キロ、坂を登って下ると峡谷の入り口に着く。あるいは馬車をチャーターすることもできる。ポドホムからヴィントガルへの最後の区間、かなりの急坂の部分、御者は馬車から降り、馬の負担を軽くしてやっている。
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興味深いのはこのゴルジュの形成史。Peter Skoberne "Triglav National Park" Ljubljana, 1991 によれば、最後から二番目の氷河期に、ボヒン氷河が Radovna ラドウナ川の流れを堰き止めて湖にした。それまで、ラドウナ川はブレットでサヴァ川に注ぎ込んでいたのだが、その道を塞がれ、 Hom ホム山 (834m) と Poljana ポリャーナの間の峠からサヴァ・ドリンカ川に向かって流れ出す。高度差があったため、長さ1.6 キロにおよぶ峡谷が比較的短期間に形成された。水流が掘り込んでいった両岸の断崖はほとんど垂直で、狭く深い谷ができた。断崖は最大で高さ300mにおよぶ。そして峡谷の出口は落差13メートルの Šum シューム滝となった。スロヴェニアで、川の途中に滝があるのは珍しい(断崖の途中から吹き出す滝のほうがありふれている)。滝の直上を、イェッセニツェからボヒンを経てノヴァ・ゴリツァまで結ぶ鉄道の、古い石造りの橋がまたいでいる。

ラドウナ川にはマスやニジマスや北欧原産で放流されているヒメマスが多く、釣り客もよく訪れるようだが、峡谷内は入漁禁止。峡谷が少し広がったところで漁をしているのが(『スタンダード仏和』の訳語によれば)川烏という鳥。もっとも、大きくて20センチぐらいの小鳥だから、マスを捉えるわけではない。2000mぐらいまでの山地の急流に住み、フランス語で cincle plongeur という名の通り、水中にダイブ (plonger) して小動物や魚の卵などを食べる。ドイツ語で Wasseramsel (水ツグミ)。フランス語でもほぼそれと同じ merle d'eau という呼び名もある(英語でも似たような water ouzel という呼び名があるようだ。もう少し広義では dipper)。スロヴェニア語では...知らない。ダイビングも含めて、とても動きがすばやくてよい写真が撮れなかったので、この画像は Der Brockhaus in Text und Bild 2004 から拝借。お食事中のようだ。
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やっぱり全身が見えないと、ということで、こちらは Les Oiseaux des forêts et des montagnes というヨーロッパの山野の鳥のフランス製CD-ROM図鑑(惜しいことに Mac では Classic 環境でしか動かないが、たいへんよくできている)から。こちらも何かくわえている。
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シューム滝で峡谷が終わり、前方の視界が開けてくるあたり、両岸の斜面にV字に枠どられて、ずっと向こうにオーストリア国境のカラヴァンケ山脈の、おそらく Stol ストウ山 (2236m) が白く輝いている。

峡谷の終端からは、往路を戻るのが普通だが、北に小さな峠を越えて Blejska Dobrava の鉄道駅に出ることもできるし、右に、南西方向の山道をたどり、Hom 山の東側、小さな聖カタリナ教会堂のある峠(634m、眺めがよい)を越えて、ブレット方向に戻ることもできる。また、カタリナ教会のところから尾根伝いに Hom を越え、出発点の Vintgar 入り口に戻ることもできるようだ。

知床が世界自然遺産に指定されて、早速国内某エアラインが新聞に大きな観光広告を打っていたりした。保護のためのはたらきと、指定されたがゆえの訪問客の増加による破壊へのドライブとのあいだで、せめぎ合いが起きていくことだろう。

奇妙なことに、今回同様に世界遺産登録された他所の土地については、触れている日本語の記事が少ない。(と思ったらこれを書いた翌朝になって Asahi.com が掲載していた。2005.07.17., 17:50 追記。)
このブログのメインページにRSSを引いている RTV Slovenija の記事で気がついたのだが、モスタルも世界遺産に指定された。
RTV Slovenija - Novice - Okolje - Mostar odslej pod okriljem Unesca

ボスニア・ヘルツェゴヴィナの古い街モスタル。街の中央を流れるネレトヴァ川に、16世紀に、高度な技術によって架けられたアーチ橋は、この前の争いの象徴の役割も担わされ、破壊され、そして復旧された。

かつてのユーゴスラヴィアが崩壊する直前にドブロヴニクに行った話は前のエントリに書いたが、モスタルには行ったことがない。モスタルについてはここの記事がよくまとまっている。行き方はこの記事にわりあい詳しい。今度機会があったら訪れてみよう。

この地がユネスコの「保護」下に置かれるということには、ずっと大きな意味があるように思える。

[map.search.ch] - Karte: Schweizの地図がなかなかよくできている。衛星/航空写真風の地図で、もちろん住所を入力して表示させることも、クリックで次々に拡大図を表示させていくこともできる。

レストランやショッピングスポットを表示させられるのは当然として、すぐれているのは公共交通機関の表示。最近付加された機能らしいが、トラムやバスの停留所にマウスを合わせると、そこの直近の発車時刻が表示されるのだ。

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