Nintendo DS が様々な学習用のプラットフォームとしてすぐれたガジェットであることは衆目の一致するところだと思う。外国語学習に関しては、日本国内で販売されている Nintendo DS Lite 用の英語の学習ソフトは無数にあるし、レベルや目的によってはよさそうなものも少なくない。しかし英語以外の言語を学ぶソフトとなると、国内では、旅の指さし会話帳DS ドイツなど、『旅の指さし会話』シリーズを移植した使い勝手の悪いもの以外、ほとんど見ない(あのシリーズの書籍自体は、対応するレベルの人にとってはよくできていると思うが)。ここで取り上げてみたいのは、海外の DS 用ソフト、フランス Ubisoft 社の製品だ。
Ubisoft はイルカや馬の飼育シミュレーションや職業シミュレーションのヒットもあって、注目されているソフトハウスのようだ。(goo ゲームの記事)まずはMy Spanish Coach、My French Coach の2本。英語話者を対象に、スペイン語、フランス語の語彙増強を狙ったもの。同様のソフトを、ドイツ語話者向けには、英語学習用に、フランス語話者向けには英語、スペイン語学習用に出している。最初にプレイスメント・テストのようなものがあり、一定の成績を収めると11課に飛んで、そこから始めるようになっている。フラッシュカード、神経衰弱、ワードサーチ、モグラたたきなどのゲーム形式で、楽しくやれるよう工夫されている。動詞の活用は仮想キーボードを使って自分で入力していく練習。自分の声を録音してお手本と比べる往年のLL方式の機能もあるし、簡単な辞書機能、お絵描きメモ機能もある。
ゲームの成果は明快にポイント化され、一定ポイントを取ると、次の課がアンロックされて、先に進めるようになる。ガイド役(?)にそれぞれの学習対象言語圏のおねいさんとおぼしき人物の絵が添えられており、BGMと相まって、楽しげにできている(ちょっと萌え)。いや、何より重要なのは、収録されている音声がきわめて生き生きしていることかもしれない。萌えるのはそっちだ。日本で作成される教材はこの点、あまりにお粗末なものが多い。たまたま日本にいたネイティブスピーカーを使った、まるで表情のない台本棒読みの(その昔のナ×ナのコマーシャルの王×治のような...って若人はもはや知らないか...)音声教材が多いのだ。フランス産の語学教材は、カセットテープの時代から、こういう点ではすぐれたものが多かった印象がある。
クレジットにはプリンストン大学の名が入っている。
このソフトだけでそれぞれの言語がマスターできるとは思えないが、ある程度他の形で学んだ人が、気軽に知識を固めていくのにはいいのではないか。
右はモグラ (gopher) たたきゲームの上下画面。100パーセント叩くのは案外難しいが、60パーセントでクリアになる。
少し残念なのは、中盤以降の課で並べて出される語彙に脈絡が欠けているように思われる点だ。たとえば My French Coach の第51課で出てくるのは、pâle, chahut, incarner, dingue, pilier, loriot, choyer, association, faire périr, poule mouillée の10語(群)。ちょっとバラバラに過ぎやしないか。互いの関係も、語彙レベルも、どういう基準で選ばれているのか、推測することは困難だ。
やや構成が異なっているのが、My Word Coach というソフト。英語話者、あるいは英語がある程度できる人が、英語の語彙を増やしていくためのソフトだ。フランスではフランス語ができる人が語彙を増強するための Mon Coach Personnel - J'enrichis mon Vocabulaire を出しており、同様にドイツではドイツ語用の Mein Wortschatz-Coach - Verbessere dein Ausdrucksvermögen がまもなく(2008年5月15日)出るようだ。これらはネイティブのおねいさんではなくて、額が広く丸眼鏡の「はかせ」キャラ(と言うよりその昔加藤茶が演じていたおっさんキャラに近い)がガイド役だ。このへんはちょっと触ってみたいと思う。
テレビゲームの場合は、Game Cube にせよ(おそらく)Wii にせよ、映像方式の違いが絡んでくるので、たとえばヨーロッパのソフトは日本では普通にやったのでは使えない。DS の場合は、そういう問題がない。だから入手さえできれば、以上のようなソフトを使うのもいいと思うのだが、ところがこれらは日本では販売していない。Ubisoft社には日本法人もあるのだが...。
残念ながら、いつも書籍やDVDの購入に利用している各国の amazon は、コンピュータ用ソフトウェアはそれぞれの国外には(厳密に言うとヨーロッパの amazon はEU域外には)送ってくれない。音楽CDやDVDは問題ないのだが、なぜかCD-ROMやゲームカートリッジは売らない。そして Ubisoft 社のサイトでソフトの「購入」ボタンを押すと、それぞれの国の amazon に飛ばされてしまうのだ。
で、アマゾンはだめでも、たとえばGDEX Online Game Storeで購入できるようだ(でもかなり割高 - もっとよい店をご存じの方はご教示ください)。一番いいのはそれぞれの国に住む友人に依頼して送ってもらうことなのかもしれない。相変わらず、世界は奇妙な障壁でへだてられている。
追記:
日本国内へは、少なくとも北米向けバージョンは、ここから比較的リーズナブルに入手できるようだ。
Play-Asia com:
My Word Coach
My French Coach
My French Coach Level 2
My Spanish Coach
ところで、さまざまな系統の文字認識エンジンを利用したDS用漢字学習ソフトは、外国語として日本語を学ぶ人々から熱い視線を集めている。ということをここで指摘しておいてもよいかと思う。たとえば Nusby's World (ドイツ語)の記事を参照。



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