剣尾山(けんびさん)へ家族で行った。天気がよければ奈良・三重県境の倶留曽(くろそ)山まで出かけるつもりだったが、昨晩の予報ではわずかに雨。それで諦めて少し寝坊したら、今朝になっての予報は、日差しは期待できないものの「曇り」。慌てて電車・バスの時刻などを調べて、もう少し近場の北摂・剣尾山に初めて登ることにした。

横尾山の肩から振り返る剣尾山
能勢電鉄山下駅前から9:58のバスで行者口へ。玉泉寺を過ぎてしばらく舗装された道路をまっすぐ登って行くと、左手がキャンプ場になり、間もなく右に行者山登山口がある。

行者山登山口
整備されすぎているくらい整備された道で、丸木の階段は好みの分かれるところだろう。尾根上の一ピークである行者山直下には、さまざまな大岩があり、かつて修験者の修業場だったという。小さなお堂があって、周囲の乾いた土にはアリジゴクがたくさんいた(子どもたちはすり鉢状の巣に指を突っ込んでアリジゴクを捕まえるコツをここでようやくつかんだようだ)。
比較的平坦に雑木林の中を通ったり、階段のしっかり組まれた急登が交互に現れる。能勢は栗の産地だが、この山道にも小さな毬がたくさん落ちている。六地蔵を過ぎ、右に大阪府の青少年野外活動センターに下る道を分け、月峯寺跡を過ぎると、ようやく剣尾山の頂に着く。ここまで、かなり長丁場の登り。行者口を出たのが10:40ごろで、小さな子ども連れでは、ここまでで2時間40分かかってしまった。
剣尾山は、大きな花崗岩塊の点在する、展望のよい山頂だ。天気はほんの時折弱く日が差すだけで、あくまでも曇りだったが、眺望は利いた。京都方面では愛宕山や比叡山まで見える。標高784メートル。どこかで「大阪府の最高峰」というコピーも目にしたような記憶があるのだが、それはどうも正しくないらしい(もう少し北の深山が最高)。すぐ隣の横尾山にしてからが、1メートル弱高い。
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剣尾山頂のほぼ360度の展望(QuickTime VR。マウス操作で360度ご覧になれます。)
昼食後、そのまま北に向かい、分岐点で明治10年の「摂津 丹波 國界」と書かれた石標を見て、左に笹の多い尾根をたどる。

「國界」の石標
かなりの標高差下って登り返すともう一本石標があり、間もなく横尾山。この間、シカ(ニホンジカは、大阪府下ではこのあたりの山域にのみ棲息するという)よけらしく、植林された幼木が皆、地面から1.5メートルくらい、白いプラスティックの筒に覆われている。この道は、笹藪がかぶさって悪いという記述もガイドブックやネットで見られるが、最近になって整備されたらしい。笹はしっかり切り開かれている。途中、見慣れない白い草の花が数株あって、帰ってから調べたらセンブリだった。

センブリの花
横尾山からそのまま西に進むとすぐに、これもシカよけだと言われる黒い幕の張られた柵に行き当たる。ここから、柵沿いに、急な尾根を南に下る。登りの尾根とは、植生も空気もまるで違うのが面白い。特に高圧線鉄塔下の草地を過ぎたあたりからしばらくは、六甲のような砂岩土壌かと思われる土に変わり、左右は実にさまざまな潅木に縁取られた、一種の庭園のような道になる。六甲のロックガーデンの尾根のような岩のごろごろする急坂も通って、やがて「山頂広場」と名付けられた小さなピークから下は、「能勢の郷」の遊歩道がいく筋も通っている。適当な道を選んで下りていくと、最初に登山口に入った車道に出てしまった。
温泉の看板に従ってキャンプ場を横切り、能勢温泉に行って一風呂浴びる。大人一人600円。「かんぽの宿」を名乗っていたはずだが、現在の看板は「能勢温泉」になっている。大部分は日帰り入浴客らしき人々が大勢来ている。露天風呂もあって気持ちがいい。露天風呂には、虫や落ち葉も自然の客である、仲よく一緒に入ってやれというような趣旨の掲示があった。たぶんそんなことで文句を言う客もいるということだろう。実際には、こういうところでは断られることも多いはずの入れ墨のおじさんも仲よく入浴していた。
この近くの三草(みくさ)山に登った帰りに汐の湯温泉のほうに入ったことがあるが、古色蒼然という感じで人も無愛想だった。そちらは1000円。食事や宿泊は分からないが、日帰り入浴に限って言えば、どちらかを選べと言われたら答は決まっている。
すぐ下のバス停から、17:29のバスで山下駅に戻る。多くは車できているようで、バスの乗客はわれわれともう一組だけだった。



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