ギーゼッケ(ギースエッケかもしれない)の『賢い練習、有意義なリハーサル、成功するステージ』なる書物は、音楽家のための、練習から本番までの Tips 集だが、ところどころ妙に細かくて面白い。

Mark Andreas Giesecke. Clever üben, sinnvoll proben, erfolgreich vorspielen. Zimmermann, FaM, 2005. 3-921729-72-6
中に室内楽アンサンブルの本番のお辞儀の仕方に関する注意(鉄則58)なんてのもある。
メンバーのお辞儀の方向、テンポ、身振り、頭を下げている時間、表情がバラバラだとみっともないから揃えろというのだ。それには「お辞儀マスター」とでも言うべき役を決めておいて、その人に合わせること。お辞儀マスターは全員から見やすい位置にいる人物がなる。予めちゃんと話し合っておいて、かつ何度も練習をせよという。頭を下げ切ったところで心の中で "einundzwanzig" とつぶやいて、それから顔を上げはじめる。つねに目尻でお互いの姿を捉えることで、動きを合わせるようにすること…。
ここに出てくる einundzwanzig アインウントツヴァンツィヒというのは、別に意味はない(はず)。「21」という数を表わすドイツ語だ。この単語の長さが、タイミングを計るのにちょうどいいということなのだろう。べつに22でも23でも良さそうなものだが…。これ、もし日本語にしたら適切な単語は何だろうか。トウキョウトッキョキョカキョクとか(センスなくてすみません)?
これに付け加えられた「鉄則59」がまた何とも言えない。
「アンサンブルの一心同体ぶり、チームワークの完璧さと真剣さという点で全体的にポジティブな印象を与えるには、多くの「純粋に音楽的な」共同作業よりも、完全に揃ったお辞儀のほうが役立つことがありうる。シロウトの聴衆は、音楽的な協働ぶりは評価判断できなくても、お辞儀が合っているかいないかは分かる。そして聴衆は評価判断〈できる〉ものは評価判断〈する〉ものである。」
それ自体間違っているところがあるとは言えないが、こうなるといささかシニカルに過ぎるような気もする。
まあ、音楽的な仕事はきっちりしておいて、その上こうした外面的な部分にも手を抜かない方がいいですよ、という警告として受け止めておくべきなのだろう。



einundzwanzigは、ワン、ツー、スリー、フォーっていうのと同じリズムみたいで、しかも1から始まり、2も入っているから適当なんですかね。
日本語なら、Ablog氏の勤務先の法人名(「大学」を省いた部分)が適当な長さでは? トウキョウ...は長過ぎるような気がするけど。
たとえば「5まで数える」というと、個人差が大きくなりそうで、einundzwanzigのほうが長さが安定するということはあるのでしょうね。
> 勤務先の法人名
勘弁してよ。なんでこんなところでそんなもの唱えなければならないのさ。(苦笑)