ながらく自前の国家を持たなかったゆえに言語こそがアイデンティティの拠り所であったとされるスロヴェニアは、しかしもちろん、デザイン言語においても独自のものを持っている。プレチニクの建築言語も独特だけれど、民衆レベルではたとえばこれ。

これは観光客相手の土産物屋で売っているテーブルクロス/飾り布/ハンカチ。あちこちで見かけるが、これはプトゥイで購入。
カーネーションはスロヴェニアではことに好まれて national symbol (国花、という日本語にしていいのだろうか?)となっており、地方の民家では、ゼラニウムやペラルゴニウムなどと並んでしばしば窓辺に飾られる。
上のデザインは歴史があり、このような形で様式化されたものが最初に現れたのは16世紀であるとも言われる。先が三つに分かれた赤い花弁を並べたデザイン。茎や葉は、緑のこともあるが、多く青が使われる。伝統のある意匠なのだ。ゆりかごなどの木工品にペイントされているのがよく見られる。しばしばマリアの絵や IHS の組文字とともに描かれて、「神の贈り物」である子供への愛を表す。
これはスレドニャ・ヴァス(ボヒン)の宿のレセプションの扉にペイントされたもの。
これもスレドニャ・ヴァスにて。民家の壁に飾られた銅製の飾り。
スロヴェニアを訪れたら、このカーネーションを探して歩くのも面白い。
赤いカーネーションは慈愛と愛を表す。ローズマリー、ゼラニウムとともにカーネーションを使ったコサージュは、愛と忠実と希望を表すものとして、女の子たちが、兵役に行く男の胸に着けたものだという。




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