リュブリャーナからいずれも25キロ程度の距離に、三つの古い町がある。クラン、シュコフィヤ・ローカ、カムニク。三つとも旧市街は中世の面影を残し、三つともかつて交易拠点としてまた手工業の町として栄え、三つとも近代に鉄道が通され、19世紀から20世紀に工業都市として発展した。

プレシェレンの書斎
2月半ば、クランの町にでかけた。
プレシェレンは晩年、と言っても40代だが、クランの町でようやく弁護士として開業して生活していた。たった3年たらずで亡くなる。当時彼が住んでいた家が、よくあるように、記念館として公開されている。
入ってみると、小学生の団体が2グループほどいて、ガイドの説明を聞いていた。他には客はいなかった。
英語やドイツ語で出版されている多くのガイドブックが、ここの展示に添えられた解説はスロヴェニア語ばかりだから、スロヴェニア語の分からない人は行ってもあまり得るものがないかも、と書いているのだが、そういう状況は最近になって変化したようで、少なくとも各室に置かれた大きなパネルは、スロヴェニア語と英語の二言語になっている。これでわれわれのような無学文盲なものでも展示を楽しめる。
受付兼ミュージアムショップの店員みたいなおばちゃんに、スロヴェニア語が分かるの? と聞かれ、一応、少しね、と答えるとたいそう感激してくれた。リュブリャーナではさすがにそういうことは少なくなってしまったけれども、ほんのちょっと離れたクランではまだこういうことがある。英語はそれほど達者ではないけれども、とても親切で、次々に色々なパンフレットをくれたうえに、ほんの話の糸口のつもりで「麗しきヴィダ」の英訳か独訳は置いてないんですかと尋ねると、必死で探してくれたし(結局なかったが)、ここクランでおいしい地元料理の食べられるレストランはどこですか、と家人が片言のスロヴェニア語で尋ねると、わざわざ出てきて、百メートルあまり離れたおすすめレストランの前まで案内してくれたりした。(結局子供を迎えに昼過ぎに幼稚園・小学校に行かなければならないわれわれは、町をうろうろしているうち、そこで食べる余裕はなくなってしまって、入れなかったのだが。ちなみに、彼女が教えてくれたのは、旧市街に入ってすぐ左手の gostilna Kot。)
街から見るカラヴァンケの山並み
聖カンティアヌス教会 Sv. Kancijan 入り口上部の「オリーブ山」のレリーフ
同教会の天井
同教会。壁の装飾。
中央広場の家に描かれた聖フロリアンの絵。1750年と記されている。
クランは、リュブリャーナからバスで30分あまり。ボヒンなどの山岳方面に向かう時に何度となく通っているのだが、これまでは素通りだった。しかしバスの車窓からは見えなかった旧市街はとても魅力的だし、人が優しい(ヒマ?)。リュブリャーナからほんの数十キロで、カラヴァンケの山々がぐっと近くなり、町から見る山並みもとても美しい。
Cankarjeva ulica 4 の民芸・美術品店 M-Arts は、品揃えがちょっと洒落ていて薦められる。



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