ヴァンドートのケケッツをアンドレイ・ロズマン・ローザが再話し、ズヴォンコ・チョーフが絵をつけた『ケケッツとベダネッツ』、『ケケッツとプリサンク』、『ケケッツとペヒタ』の私家版日本語訳が出来上がった。このスロヴェニアの山の少年の物語は、少なくとも、スロヴェニアに住んで、スロヴェニアの山にもいくらかなじみのあるウチの子供たちには好評だった。
(出典)
ヴァンドートの『ケケッツとプリサンク』には、メジーケルという花が登場する。モイツァという女の子が病気の妖精シュクルラティツァに頼まれて採りにいく花。その花の匂いを嗅いだだけで、モイツァの継母の病気も治ってしまう。どうやら山の急斜面に生える高山植物。これが、いろいろな名称があるのだろう、辞典では出てこない。調べてみると、どうも普通アウリケル avrikelj (jegličevke) と呼ばれるサクラソウ科の花のことらしい。学名 Primula aulicula。日本では厚葉桜草アツバサクラソウと言われているようだ(英語なら auricula または bear's ear)。花期は4月から6月。何年か前の初夏にボヒン周辺の山を歩き回った時に、もしかしたら目にしているのかもしれない。(日本でも、たとえば六甲の高山植物園で見ることができるようだ。)
アウリケルはふつう黄色の花(上の画像)なのだが、お話に出てくるのは、魔法の力をもつだけあって、珍しい赤い色。下の画像は GraphicConverter で色を変えて遊んでみました。

日本語も堪能な友人のバルバラは、『ケケッツとプリサンク』の日本語訳を見て、とてもよくできているから日本で出版したらどうか、ロズマン・ローザとはすぐに連絡が取れるし、と言ってくれたのだが、日本で出したがる出版社なんてなかなか見つからないことだろう。
まったく別のことだけれど、困ったのが、『ケケッツとペヒタ』の本が買えないこと。他の二冊は Mladinska Knjiga で購入したのだけれど、少し前(といっても 2000 年だ)に出版されたペヒタの巻はすでに品切れのようで、このオリジナルは例の子供図書館から借りてきたのだ。もうすぐ返却しなければいけない。日本語訳のテクストだけ残ってもなあ。リュブリャーナの古本屋を漁ったらあるだろうか。
前にも触れた気がするが、そもそも総人口が二百万程度のスロヴェニアでは、出版は盛んであるけれども、個々の出版部数は千部がいいところ。それで、ちょっと油断していると手に入らなくなってしまうのだ。
追加のおまけ:
ケケッツお子様シャンペンとケケッツ・ポークペースト。



それはぜひ日本でも紹介していただきたいな。うまく古本と版元が見つかるといいですね。
どうやって売り込むか。難しいですね。
山地での牧畜に縁のない日本のこどもたちにどれほど受けるか。Heidi はどうかと言うと、日本ではいかにいい加減なものであれ、スイスのイメージは確固としたものがあるし、すぐれたアニメも制作されたし、といった条件がそろっていますよね。