週末、久しぶりにボヒンにでかけました。夏しか知らなかったボヒンの秋を見に。
天気はあまり期待していませんでした。しかしリュブリャーナを昼頃バスで出発したときには、雲がたれ込めていたのが、ブレット(あの日本の乳製品会社に北欧移転させられた湖)を過ぎ、ボヒン地方に入る頃には晴れ間が広がり、バスを降りたときには、手前の山の肩越しに、トリグラウの白く鋭角的な頂がくっきりと見えていました。
今回は、ボヒンの観光の中心地、リブチェウ・ラース Ribčev Laz のホテルに泊まりました。ここは夏のシーズンにはいつも避けていて、まず泊まることのなかった場所です。オフシーズンの今は、泊まり客も少なく、静かなもの。
翌土曜日は前から雨の予報でした。が、起きてみると、晴れ上がっていくタイプに見える朝霧がかかっていました。念のため、ホテルのフロントの女性に、今日の天気はどうか、と尋ねると、slabo、悪い、との答え。その間にも空は青さを増していく。うーん、いくらホテルのフロント勤めとは言え、地元暮らしだろうに、自分で観天望気をやっていないのね。要するに、テレビやラジオの予報をそのまま口にしているだけのようで、これは少しがっかりしました。とても感じのよい人だったのですが。
で、これは天気が崩れるにしても遅くなってからだろう、と自己責任で判断し、モストニツァ峡谷までの軽いハイキングに行くことにしました。湖の出口にかかる石橋を渡り、まず、隣村のスターラ・フジーナ Stara Fužina まで、車道沿いを歩きます。
スターラ・フジーナな集落の中を抜けて、山道を登っていくと、片隅に蜂の巣箱のある丸い牧草地を通り抜け、「悪魔の橋」Hudičev Most に着きます。ここがモストニツァ峡谷の始まり。石灰岩地特有の渓流で、川幅はほとんどの箇所で5メートル程度、ところが両岸は深さ10メートル以上に切り立っているところが多い。水に削られやすい石灰岩を、水流が、細く深く削り込んでいくのですね。「悪魔の橋」もそういう上に架かっていて、手前から見るとどうということのない小さな石橋なのですが、欄干から身を乗り出して下を覗くと、めまいを覚えるほどのはるか下に、翡翠色の透明な水が流れています。
そこから林道状の道を一登りしてから、右に渓流沿い(といっても水流ははるか下です)に林の中に入っていくと、木の皮で屋根を葺いた、三角形の小さな小屋のようなものがあります。ここは、夏場、中におじさんがすわっていて、入山料を取られるのですが、今はもう閉じられていました。この料金徴収所のところで道は左右に分かれます。左岸をそのまま進む道と、木橋を渡って右岸を行く道。ここでは右をとります。黄葉も終わりかけて、道には落ち葉が厚く散り敷いています。
道は峡谷に付いたり離れたりしながら続いていますが、近づいても、細く深い谷底は見えないところが多い。たまに見えて、そこに南から昼の日差しが射し込んでいるところでは、エメラルド色の水が輝いています。
途中、「象さん」Slonček という道標があり、水辺に降りる道がついています。
象の頭から鼻の部分のような形の自然の小トンネルができています。その向こうはかなり深そうな淵になっていて、二十センチほどのマスが何匹も泳いでいました。
さらに進んでいくと、再び小さな石橋があり、右岸に渡ります。左上の急斜面を細い水流が勢いよく落ちてきていて、そのまま滝になって峡谷に飛び込んでいます。
ここからちょっとした急坂を登って、さらに奥にすすんでいくと、この狭い峡谷が突然開けて、大きく広がるヴォーイェの牧草地の谷になり、そのコントラストがまた面白いのですが、今回はここで戻ります。今度は右岸沿い。
スターラ・フジーナの村までもどって、村の食堂、Mihovec で昼食。地のチーズやハム類の盛り合わせが、なんの飾りもなくおいしい。
あとは、来た道をリブチェウ・ラースまで戻ります。
ところで、この道、上の往路の「スターラ・フジーナへの道」の画像に、「牛横断注意」の標識が見えているのにお気づきになったでしょうか。帰り道、実際そういう場面に遭遇しました。十数頭の牛たちが、遊歩道を塞いで草を食んでいる。ときどき、思いついたように道の向こう側の草地に歩いていき、通りかかった車はみんな徐行して、牛が道をあけてくれるのを待っていました。
帰り着いた頃には、空はすっかり雲に覆われ、夜に入って、雨が降り出しました。








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