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リュブリャーナで Mac その5(PowerBook をバラす)

翌日の午後、E.P.L. にもう一度行くと、ちゃんとハードディスクが入荷していた。SAMSUNG 製の 60GB、5400 rpm のやつ。税込みで 26,607 SIT。

trdi diskこれはお亡くなりになった方。東芝製。

代金を払って、ドライバを貸してもらえる話になっていたが、と言うと、ここで使うならいいが、持ち出しは不可だという。前日、きちんと確認していなかったのが悪いが、どうもそうなるのではないかと思って、PowerBook そのものと、トルクスドライバ以外の道具(普通のドライバセットと、1.5ミリの6角レンチ、そしてマスキングテープ)や資料は一式揃えて持参していた。それで、がらんとした店内の応接用ソファに座って、その場でバラしを敢行することにする。

これはオレの私物だ、と言ってドライバ・セットを渡してくれた(店のものはないんかい)兄ちゃんは、"Enjoy!" と一言言い残してさっさと奥に引っ込んでしまった。

PowerBook のバラしは、2400を使っていたときにけっこうやった。ビールをぶっかけられた Titanium も自分でハードディスクを取り出した。昔の CRT-iMac も、何度かバラした。でも今の PB G4 12inch 867MHz は、購入からたぶん2年ぐらいになるが、まだバラしたことはなかった。

2400 のバラしも結構厄介だったが、この G4 12インチもかなりのものだ。PB G4 12インチのバラし手順は懇切丁寧な解説がMac用メモリ通販店「マックメム」のサイトに掲載されていて、予めプリントアウトしておいた。とにかく形も長さも違う何本ものネジを次々はずして、奥の方まで開いていかなければならない。マスキングテープを用意して、外したネジは、上記マニュアルの該当部分に貼り付けていった。F1, F2, F11, F12 キーのキートップの外し方は、前の晩に試して練習しておいた。キーボードの下は、一番多くのネジを外さなければならない。問題は、再び組み立てるときに、それぞれに違うネジを正しい場所にとめていけるかどうかなので、こんなことをやった。

キーボード下のネジ
キーボード下のパネルの絵をかいておいて、その上の対応する位置に、一つ一つのネジをマスキングテープで貼り付けていったのだ。(作業中は写真を撮る余裕などなかったので、これはあとから撮影したもの。だからネジはここには写っていない。)

ここまでは、それなりに時間はかかったが、まあ順調だった。このあと、ネジを外したパネルをまるごと外す作業に手間取った。左手前のツメがなかなか外れなくて悪戦苦闘していたら、ちょうど出てきた店のバラし担当らしき兄ちゃんが手伝ってくれた。これが外れるとハードディスクがようやく姿を現す。あとは簡単だ。ハードディスクのコネクタを抜き、止めてあるネジをはずし、固定金具を新しいハードディスクに付け替え、入れ替える。

このハードディスク固定用のネジがトルクスネジだと思っていたのだが、ただのプラスネジだった。うーん、ならウチでゆっくり作業をしてもよかったんじゃないか。トルクスドライバの持ち合わせがなかったから、店の(というか兄ちゃんの)を借りて作業にかかったのに…。

ここまでで40分以上かかってしまった。店に来たのが3時過ぎ、店の閉店の4時まではもうあまり時間がない。僕がハードディスク自体を入れ替えるところをじっと見ていた店員のスキンヘッドの兄ちゃん(ドライバを貸してくれた人物)が、ここでさっと躍り出て、再組み立ての作業を僕に代わってやりはじめた。おそらく僕がやるよりも3割方は速い。もう閉店時間で、さっさと終わらせてもらいたかったというのももちろんあるだろうが、一種の好意も感じられた。そもそもが Mac ユーザの少ないスロヴェニアで、こんな店先で自分でバラしを始める客なんて滅多にいないだろうし、それで面白がっているふうもあった。僕がこれはここ、これはそこ、と言いながらネジを渡していくと、さっさっと締めていった。必要なのは練習だよ、練習。行ったことはないが、日本の文化や事物に好感を持っているとも言っていた。具体的にどういうものを言っているのかは尋ねなかったが。

それでも、再組み立てに20分以上はかかったと思う。ことほど左様に PB G4 の造りはややこしいのだ。システムインストール用の CD か DVD は持っているか? ─持っている。じゃあ入れてみな。そして起動テスト。ディスクユーティリティで見ると、ちゃんとハードディスクは認識されている。手術成功。あとはフォーマットとシステムのインストールだが、もう遅かったので、それは家に帰ってやることにする。

スキンヘッドの兄ちゃんはファーストネームをデヤンと言った。ディスク交換技術料の半分ぐらいは渡すべきだったかもしれないが、要求するそぶりもなかった。トルクスドライバが不要だったのだから、ハードディスクだけ持ち帰って、家でゆっくり作業をしてもよかったわけだが、デヤンと仲良くなったことでまあよしとしよう。

他の店員がさっさと閉めてしまった入り口の鍵を開けてもらい、握手して店を出た。

家に帰って、ディスクをフォーマットし、システムをインストールした。こうしてPowerBookはすっかり元気になった。ただし記憶喪失のまま…。