![]() | メジャーリーグの愛され方 冷泉 彰彦 日本放送出版協会 2005-06-07 by G-Tools |
著者から送っていただき、拝読しました。アメリカの中で、メジャーリーグがどのような意味を持っているかということを語った書物です。私自身は日米を問わず野球というものにあまり関心を抱くことなく過ごしてきたのですが、たいへん面白く読めました。1999年に、少しぎこちないものの、スケールの大きな小説『トロイの木馬』でデビューなさった冷泉彰彦氏は、村上龍氏の主宰するメールマガジンJMMなどで健筆をふるっておられます。
第1章はニューヨークの「野球暦」。主に「ストーブリーグ」の話。
第2章は男たちの野球狂いを支える女性たち。もちろんそれが半ば男たちの「幻想」であることも指摘されています。
第3章はリトルリーグの話。
第4章はニューヨークの野球の歴史。
第5章が伝説的な1978年のヤンキースの物語。
以下、次第に頁数を減らしながら第9章=9イニングまで引っ張ります。そこには少し無理があります。ですが、興味深いのは、最終回に突然放たれる「メジャーリーグにおける日本人選手に期待されるのは、実はリーダーシップだと思うのです」というホームラン級の長打でしょう。詳しい議論は本書そのものをご覧いただきたいと思います。
冷泉彰彦氏の強みは、映画や、近隣との付き合い、ご子息たちの学校生活、大学で教師として見ている学生たちといったアメリカの日常の中から見るべきものをつかみ出す視線の確かさにあります。本書は、受験勉強をしていた浪人生であったはずの1978年にメジャーの試合の日本での放送にのめりこみ、その後紆余曲折を経てニュージャージーに居を定め、アメリカの生活の中からアメリカ野球をつぶさに眺め、ご子息たちをリトルリーグで活躍させてもきた、そういう冷泉氏だからこそ書けた本だと言ってよいのでしょう。結局成らなかったとは言え、一時ご子息の日本への「野球留学」を考え、京都まで出向かれた、その時の経験からでさえ、何ものかが掴み取られて本書には生かされています。野球ファンはもちろん、私のようなさして関心を持たない人にも、ご一読をお勧めしたいと思います。
…冷泉彰彦氏の読者に優しくかつ高雅な文体を模倣するのは、私のような下品な人間にはやっぱり疲れます…。あ、全然似ていない? そうですか。そうでしょうね。
追記。
ご本人に、全然似てねー、と言われてしまった。無理もないけどね。自分が「変な尊敬語を使わないことと、ムリな皮肉表現でアクセントをつけようとしていない」ことにこのパロディを読んで初めて気付いたというのだが、その二点は僕は最初から意識していたし、削りきれていないことも自覚していたのだ。




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