maj 2005アーカイブ

ボヒンではもちろん本格的な山歩きのコースにも事欠かない。南ボヒン山脈の縦走については以前に書いたし、トリグラウ登山についてもいずれ書くつもりだ。

ボヒン湖の奥、サヴィツァ滝を訪れるベースになるサヴィツァ小屋 Dom Savica (653m) から (8:25)、滝への道を離れ、南西方向の急な斜面に作られた長いつづら折れの道を上っていく。この斜面も部分的に腐葉土に覆われているだけの石灰岩質なのに、ブナの巨木の林になっている。やがて傾斜がゆるやかになって、谷の道となり、奥へ奥へとたどっていくと、三階建ての大きな Dom na Komni の山小屋 (1520m) に着く(10:30)。約2時間。小屋は有人で、ヤギが飼われている。サヴィツァ小屋からこのコムナ小屋までは、荷物専用のリフトが敷設されている。
dom_na_komni.jpg

このあたりの地形は氷河によって形成されたもので、谷はU字状、つまり斜面の勾配がきつく、いったんその谷の上に出ると、比較的平らな台地状に広がっているところが多い。ここもそうで、急斜面の樹林の中を登ってきてここまで出ると、あとは西方にずっと石灰岩台地が続いている(当然凹地もたくさんあって、かなりでこぼこしている)。コムナ小屋 (11:30) からほぼ平坦な道を15分ほどのところに、もう一つの山小屋、Koča pod Bogatinom (ボガティン下小屋 1513m)がある (11:45-12:45、昼食)。これは第一次大戦のとき、オーストリアの地区司令部だった。この小屋を過ぎて、なおも西へとたどり、金鉱が出るという伝説のあったボガティン山の北、ウラトツァ Vratca 峠 (1803m) を越え、さらにいくつかの峠を越えていくと、ボヒンの外側、ソチャ川 Soča の谷、トルミン地方に出る。...ようだ。地図で見る限り。(つまり、Koča pod Bogatinom から先は、僕自身は歩いたことがない。)

そもそも、サヴァ・ボヒンカの川沿いにボヒンスカ・ビストリツァに鉄道が通される以前は、この山越えの道が、ボヒンと外界とを結ぶ唯一の道であったらしく、また、第一次大戦時には、「軍用道路」であったらしい。もちろん車が通れるような道ではないが、サヴィツァ小屋からのジグザグの道が山道にしては異様に広いのはそのためだろう。

このボヒンの西側、トルミン地方は、第一次大戦のときに、前線となった。コバリート Kobarid の町には、それを記念する戦争博物館がある。ヘミングウェイが『武器よさらば』で描いたのも、この地の戦闘だ。

たびたび引いているハントケの小説『反復』、設定では1960年代半ばのはずだが、主人公は、ボヒンを去るとき、どうやらこの道を歩き、山上の要塞跡で一夜を明かしている。

まだボヒン滞在中で、荷物全部を抱えてこの大きな山越えをする用意のなかった僕は、ボガティン下小屋まで往復したあと、コムナ小屋から北東の道をたどり、チュルノ・イェーゼロ Črno jezero (黒湖)に向かうことにした。(つづく)

    
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Fernsehen 1.0 は、Mac OS X 10.4 の Dashboard 用 widget。TVToday から情報を取得して、ドイツ、スイス、オーストリアのテレビ番組表を表示してくれるほか、リマインダー機能もある。

fernsehwidget.png

日本にいる間は、ドイツ語圏のテレビの傾向を知るといった以外、あまり意味がないかもしれないが、あちらにちょっと出張したときなど、"Hör zu!" みたいな雑誌を開く必要もなく、便利かもしれない。

それにしても、"Fernsehen" って、そのままやんけ。英語以外の言語だと、ここらへん、まだまだソフトが臆面も無くそのまま名乗れる単語が多いということか。

...(日本では)あまりにニッチな Mac 情報でした。

追記:日本のテレビならこれですね。
フランスのテレビならこれ

    
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ボヒンの軽いウォーキング・コースは、一つ一つ特色があって楽しい。

湖の奥のサヴィツァ小屋 Dom Savica からサヴィツァ滝に登るコースはすでにあちこちで紹介されている。伝説のまといつくこの高名な滝は実際一見の価値がある。が、そこまでの道はコンクリートで固められてしまっている。

北の谷のスタラ・フジーナの集落から、狭く深い峡谷をほとばしるモストニツァ渓谷を歩いていくと、谷の奥は、たぶん氷河時代に形作られたU字谷だろう、意外にも大きく広がった気持ちのよい牧草地になっていて、そのどん詰まりにやはり滝。(上のサヴィツァ滝に行くコースと、このコースは、入り口のキャビンで入山料を払う。)

同じスタラ・フジーナを出発点に、ストゥードル山 Studor の北側を登り、ウスコウニツァ Uskovnica の台地に広がる大きな牧草地の中を歩くコース。途中、Lom や Mlaka の集落では、そこで作られたチーズ (sir) を味わうことができる。(1950年代後半まで、高地の28ヶ所の牧草地でチーズが作られていたが、現在ではすべてスレドニャ・ヴァース Srednja Vas の工場に集約されている、と Steve Fallon のガイドブックにはある。しかし少なくとも1996年にはこれらの集落でも作って売っていた。)ボヒンのチーズはハードタイプで、とっつき、素っ気無い感じだが、じわりと広がる味わいがある。ウスコウニツァから西に向かって降りていくと、先のモストニツァの奥の牧草地に出る。(チーズや蕎麦粉を使った伝統的な山の食事は、スターラ・フジーナの民俗博物館、Planšarski Muzej に隣接する食堂でも試せる。)

ボヒンスカ・ビストリツァを基点に、鉄道の線路をくぐり、その南東方向、ネムシュキ・ロウト Nemški Rovt の集落からラウネ Ravne の集落まで、南ボヒン山脈の基部の山腹に点在する牧草地と森林をめぐるコース。樹林の中にぽっかりと空いた草地が次々に現れる。森の中のこういう草地をドイツ語で Lichtung と呼び、それを晩年のハイデガーが哲学的ジャーゴンに仕立て上げたことはよく知られている。背の高い黒々とした森に囲まれてぽっかりと現れる目にも柔らかな草地は、かすかな不安の影をまとった安心感のような、不思議な感覚を呼び起こす。

ボヒンスカ・ビストリツァの西、南の谷の南寄りに、おだやかに起伏する丘がある。Dobrava ドブラヴァという名がついている。氷河時代のモレーンだ。全体が牧草地になっていて、作業小屋が点在するこの丘は、ハントケの『反復』で重要な舞台の一つとなっている。ボヒンスカ・ビストリツァに投宿した少年は、毎日ここに登って、兄の遺品である古い大きなスロヴェニア語=ドイツ語辞書に読みふける。このドブラヴァをめぐるコース。明るく開けた丘の上からは、四囲の山々の眺めがとてもいい。そのまま西にたどると、カムニェの隣のポーリェの集落に降りる。『反復』の拙訳の表紙カバーに使った写真はここだ。

bohinj0015s.jpg

同じくボヒンスカ・ビストリツァから、ポザブリェノ Pozabljeno (忘れられた土地、といった意味だろうか)を通って、これも山腹から湧き出すビストリツァ川の源泉 Izvir Bistrice に到るコース。大部分は林道歩きだが、泉に到る直前、左側の斜面からも滝が吹き出していて、水量の多いときは、通行も困難になる。夏でもなにしろ冷たい水なのだ。一時期、ここをダムにしてしまう愚かしい計画があったが、どうなっただろうか。泉から北側の斜面を登ると、ジュラン Žlan の集落を通って、ポーリェの村に出ることもできる。

ボヒン湖の北岸をだどるコース。南岸は自動車道が走っていて(その脇に遊歩道はあるが)、キャンプ場もあるのに対して、北岸は静かだ。

夏場、どのコースも本当に気持ちがいい。命の洗濯、という古めかしくもキッチュな表現がつい頭に浮かぶ。

    
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ボヒンは周りをスロヴェニアの最高峰トリグラウをはじめとする高山に囲まれ、本格的な登山(たとえば以前のこのエントリを参照)のベースとなる土地だが、軽いウォーキングのコースにも事欠かない。ボヒンスカ・ビストリツァやリブチェウ・ラースの観光案内所で手に入る Bohinj の一万五千分の一地図は、そういうコースを一ダースほど載せている。

野生のオレガノ (dt: Oregano, slo: origano, dobra misel) の一大群落を見つけて感激したのは、そうしたコースの一つ、ボヒンスカ・ビストリツァからサヴァ・ボヒンカの川沿いを下流に向かって歩き、グルメチツェ滝 slap Grmečice へ向かうコースの途上だった。イタリア料理によく使われるオレガノは、南欧起源ということになっているから、イタリアにも遠くないここでこうして生えていても不思議はないが、現実に群落にぶつかると、嬉しかった。

野生のミント (dt: Minze, slo: meta) の一種を、最初に見つけたのは、カムニェの隣村サヴィツァからボヒンスカ・ビストリツァに向かう車道の脇。ついで、ルードニツァの登山道だった。

bohinj0013as.jpg

ルードニツァ Rudnica は、ボヒンの南の谷と北の谷を隔てる山で、標高946メートル。この山への道も、同じ地図に載っている。カムニェなどのある南の谷は標高500メートル程度だから、標高差はたいしたことはないが、勾配はきつい。下から見上げた斜面は森林と断崖がまじりあって、断崖の一部は激しく崩落したガレ場になっているのが下からも分かる。この南の谷からのルードニツァのコースは、ボヒンに入って、周りの本格的な登山コースに行く前の足慣らしにちょうどいいかもしれない。

カムニェからは、例のよろず屋の前を通って、川沿いの野道(ここでもブラックベリーが摘める)をまっすぐ、となりのサヴィツァ Savica の村まで行き、そこで橋を渡って少し右へ歩くと、2、3軒の民家をはさんで登山口がある。左に向かう林道を離れ、ひたすらまっすぐ急な登山道を登っていくと、やがて左に折れて、ガレ場を渡る。上のミントの写真はこのあたり。このあとは山陵直下の10メートルもない断崖を右に見ながら、ゆるく左に巻いていくことになる。広葉樹林の中の歩き。そのちょっと暗い道が尽きて、稜線上の小さな明るい牧草地に飛び出したとき、息を呑む。まだ刈り取りが終わっていなければ、赤、青、紫、黄色のとりどりの花、その向こうにぽっかりと浮かぶ、最高峰トリグラウの白い姿。稜線上のコルにあたるこの牧草地のこの光景には、初めて訪れたとき、心底ゆさぶられたのを覚えている。
道はそこから東に向かって樹林のゆるやかな稜線上をたどる。右手は先ほど下を歩いてきた断崖だ。この尾根には Široka polica シローカ・ポリツァ (「広い棚」)という名前がついている。10数分で、もう一つの牧草地の作業小屋の脇を通って、北にむかって一登りすると、ルードニツァの山頂だ。樹林の中だが、東面は断崖で、眼下にセノジェータの牧草地、その向こうに南北ボヒンを隔てるもう一つの山、シャウニツァ Šavnica が見える。
復路は往路を戻ってもいいし、稜線上の牧草地から北の谷のスターラ・フジーナ Stara Fužina へ降りてもいい。

    
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アパートは、家主のアドルフさんが自分で建てたと聞いた。敷地はそのまま牧草地。わずかな生け垣のほかは、庭を囲う塀はない。これは村のどの家でも同じだ。

初夏、この草地の植物たちが、色とりどりの花を付ける。いわゆる「ハーブ」の代表格、タイム (dt: Thymian, slo: timijan) やヤロウ (dt: Schafgarbe, slo: rman) は牧草地のいたるところに生えていて、草地を一歩歩けば踏みつけることになる。写真はチコリ(dt: Wegwarte, slo: potrošnik, cikorija)の仲間だと思われる。これもそこかしこに生えている。朝霧の中で、ぼうっと発光するように咲いている青い花(ハルデンベルクか?)はとても美しい。

bohinj0013bs.jpg

先に書いたように、アパートと家主の家の建っている敷地自体が一面牧草地で、その一部が畑、菜園になっている。さまざまな野菜の他、スープセロリやタラゴンなどもそこで栽培している。このあたりの家はどこもそんな自給用の菜園を持っていて、おそらくだからボヒンスカ・ビストリツァあたりのスーパーに行っても、特に葉ものは、あまりよい品を置いていない。推測だが、買うのはバカンス客で、地元の需要はあまりないということではないか。

家主の夫人、マリヤおばちゃんは、僕がこうした植物に関心があると知ると、図鑑を貸してくれたり、いろいろ気づかってくれた。一緒に庭を歩き、あら、こんなのも生えてるわよ、と言って「ぶち!」...こちらが止めるまもなく折り取ってしまうのには参った。ある種途方もない贅沢さ、豊かさ。折ってくれたのは、たしかたった一本咲いていたウサギギク(dt: Berg-Wohlverleih, slo: arnika) だった。

カムニェの村のバス停わきの草地には、初めて見る花弁の無いカモマイル (dt: Kamille, slo: kamilica) が生えていた。和名を知らないので、「坊主カモマイル」と勝手に名付けることにした。花びらのない以外は、15〜20センチの丈も甘いリンゴのような香りも普通のジャーマン・カモマイルに変わらない。

bohinj0013cs.jpg

    
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addressbook.png

「アドレスブック」の話。

大昔は「システム手帳」だった。
Palm OS 機をよく使っていた頃は、もちろん PalmDesktop。そこから Entourage にデータを移行してしばらく使っていたこともあった。

日本で暮らしていると、年賀状印刷という大課題があって、宛名プリントソフトだけでなくプリンタまでそのシーズンに合わせて売られる。年賀状用にファイルメーカーでデータベースを作成して送り先を管理し、そこから宛名を印刷していたこともあった。その後、Mac ではその手のソフトの代表格である「宛名職人」を数年間使ってきた。

しかしこういうソフトに付属しているキッチュなイラストはまったく使わないし、普段使いの住所録としては重すぎるし、日本以外の住所を扱うには問題がある。

住所録データベースは、いっそのこと PowerBook 上の MySQL + PHP でもいいかなという気もするけれど、Mac OS X の「アドレスブック」を中心に据えてもいいかなという気が、近ごろようやく、してきた。

近年では携帯電話のアドレス帳の管理の必要もある。僕はずっと携帯というものを持ったことがなかった。そもそも必要がなかったからだが、キャリア主導で、国外に出た途端に使えなくなるか、とんでもないローミング料金を取られる日本の携帯に疑問を抱いていたこともある。だが、昨年末、やむにやまれず、ついに持つことにした。しかしあの数字キーで文字入力していくようなことはとてもやる気にならないので、「携帯 Sync for Mac 2」なるソフト(ケーブル付属)を買い、これで、「アドレスブック」のデータを一気に携帯に流し込んだ。

葉書印刷に関しては、「アドレスブック」単体では Tiger になってもタックシールか横型封筒の宛名印刷にしか対応していない。最新の「宛名職人」は「アドレスブック」との同期ができるようなので、これを使ってもいいし、「アドレスブック」のデータから宛名印刷をすることに特化した「葉書AB」のようなすぐれたフリーウェアも出てきた。

つまり、近ごろの「アドレスブック」ならば、
・「宛名職人」や「葉書AB」を介して、葉書の宛名印刷(縦書)もできる。
・「携帯 Sync」などのソフトで携帯との同期もできる。
・Mail.app や iChat や iCal やシステム付属のFAX機能とももちろん連携している。
・Dashboard での検索は今一つだけれどまあこれからだろう。
・.Mac へのバックアップや Web 上での利用もできる。

ということで、基幹の住所録データベースとして使うに耐えるものになってきているという気がするのだ。

アドレスブックからcvnに書き出して Yahoo! にも上げてみたけれど、これはほとんど利用していない。

    
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だいぶ間があいてしまったけれども、これはなぜスロヴェニア? - ボヒン (1)の続き。

前に書いたように、ボヒン地方は周りを山に囲まれた、尾瀬を一回りか二回り大きくしたような地形の地域。ただし尾瀬と違って、下は湿原ではなく、牧草地と湖。一番奥に、透明度の高い、美しい緑色の水をたたえる大きな Bohinjsko jezero ボヒン湖。さらにその奥のどん詰まりに、断崖の途中(カルスト地形の地下水脈だ)高さ78mから落ちてくる Slap Savica サヴィツァ滝。

ボヒンの入り口であるボヒンスカ・ビストリツァから一番奥まで、道路が一本通っている。正確に言うと、ボヒンスカ・ビストリツァから湖までの間は、ボヒン地方は、間に低い山脈を挟んで、南北に分かれていて、道もそれぞれに通っている。北側のほうが、少し標高が高く、幅が狭い。どちらも、道の両側は牧草地。その中に、ぽつりぽつりと小さな集落が点在する。

カムニェは、そういう集落の一つ。南側の谷の、ちょうどボヒンスカ・ビストリツァと湖の中間の、40戸ほどの小さな村だ。八畳ほどのスペースに、食料品から洗剤から文房具まで詰め込まれた小さな小さな、スーパーというよりは「よろず屋」と言ったほうがいい店が一軒あるだけの集落。1994年にボヒンに漂着した二年後の1996年夏、ひと月ほど、この村のR家のバカンス・アパートを借りた。

bohinj0012s.jpgアパートのバルコニーからの眺め。朝霧がかかっている。

周囲は牧草地。ドイツ語で言えば Wiese、スロヴェニア語で言えば travnik。裏手すぐに、ボヒン湖から流れ出す、夏でも身を切るように冷たい川、サヴァ・ボヒンカ。その川の向こうには、北の谷との間を隔てる標高1000メートルたらずのルードニツァから伸びる尾根の樹林が迫っている。南側、牧草地のむこうには、ヴォーゲルからチュルナ・プルストにいたる標高2000メートル弱の南ボヒン山脈が美しい。東のボヒンスカ・ビストリツァや西の湖のざわめきも、ここには届かない。

アパートは周囲の家と同じような造りの家、一階と二階に二つずつのアパルトマン。あてがわれたのは二階。居間と、寝室、キッチン、シャワー、おまけのようなシングルベッドが置かれた天窓付きの小さな部屋。主な客はリュブリャンチャンつまり首都リュブリャーナの人間と、オーストリア人やイタリア人らしい(いずれも隣国)。

そこで晴耕雨読ならぬ晴歩雨読の生活を送った。主に天候の悪いとき、家にこもって読んだり書いたり翻訳したりの仕事をして、天候に恵まれれば周囲の野や山を出来るだけ歩き回った。

店やレストランの集中しているボヒンスカ・ビストリツァと、観光の中心でボヒン湖の入り口にあって数件のホテルを擁するるリブチェウ・ラースとのちょうど中間の村、まわりに何もないと言えばない。ある週末、リュブリャーナからの客がアパートの別の部屋を借りていて、僕がずっとここにいると言うと、こんなところで退屈しないか、と訊いてきた。そんなことは全くない、と答えた。(たぶん続く)

    
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フーゴー・リーマン以来、西洋古典音楽におけるアウフタクトの重要性(誤解を恐れずに一言で言えばアウフタクトが「長く」なること)ぐらいは知られているはずなのだが、初歩的な(クラシック系の)音楽教育の現場には依然として浸透していない。あるいは軽視されている。原因と考えられることはいくつもある。

・均等拍が「自然」で「正しい」かのような観念が今なお支配的であること。均等拍を前提としたポップスやロックが量産され、人々の耳が絶えずそれにさらされていること。(もちろんメトロノームも電子ピアノもこの観念を助長している。)
・日本語の「拍」、英語の beat という概念。いずれも拍の入りを表す概念だ。日本語で他の言葉がないから、ここで「拍」を二重の意味で用いざるを得ないのだが、拍は、長さを持っている。ところが、「拍」やビートは本来その頭、出だしを指すに過ぎない単語であるだろう。(これは鍵盤楽器や打楽器にきわめて親和的だ。だからピアノが音楽教育の中心になっている事実もこの複合的な問題の原因の一つになっていると考えられる。)

ある程度まっとうな教育現場では、たとえばピアノ奏者に対しては、第一拍に入る前に待つとか、ausklingen させる(これをどういう日本語にしよう? 響くにまかせて、自然に響き終わらせる、という感じだ)、などの指導が行われているようだ。だが、これはピアノ特有のメカニズムに対応した言い方であるので、弦、管(あるいは声楽)には別の表現が(あるいは弦、管にも対応した一般的な考え方が)必要になる。

弦楽器の場合、通常、アウフタクトは上げ弓で奏されることが多い。このことは、技術的に未熟な奏者(「アマチュア」と呼びたければ呼んでもいいが、その定義は今は措いておこう)にとってはとりわけ問題を引き起こす。アウフタクトが上げ弓になるということは、弓元を使い切り、上げ弓から下げ弓に柔軟に移る技術が欠けているならば、アウフタクトの適切な表現がきわめて困難になることを意味する。

    
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lavendar.jpg

かつてPeopleという今はなきパソ通の「ハーブガーデン」にポストしたリポート。

「仕事の関係で4ヶ月ほどヨーロッパにおりました。実は野生のハーブを見てくるというのが裏のテーマの一つでした。

「最初に一週間ほど、南フランスを回りました。駆け足でしたが、それでも野生のミント、タイム、フェンネル、マロウが確認できました。本当にみんな野草、ほとんど雑草なんですよね。マロウはそれこそどこにでも生えて、花を咲かせていました。フェンネルもあちこちで見かけました。細く分かれた葉先の一本一本が厚みと艶を持っていて、とても香りの高いものです。特にゆっくり見ることができたのは、F村のペトラルカ博物館の裏手の草地でした。

「こういう野生の植物を「庭」に整形してしまったのがイギリス人、狭いベランダで気候や土壌の違いに悪戦苦闘しながら一生懸命に栽培しているのが日本人ということなのでしょう。ベランダで必死に「栽培」しているのが馬鹿馬鹿しくなります。(もっとも、スイスのローザンヌの駅裏でも、窓辺に置かれた貧弱な料理用ハーブ一式みたいなプランターを目にしました。)

「南仏の名物ラヴェンダー畑は車でかなり入ったところから広がっていますが、6月初旬では残念ながら灰褐色のボサボサした株が並んでいるだけでした。

「かえって寒冷なはずのドイツの街中で、歩道に置かれた石造りのプランターにラヴェンダーやセイジが植え込まれているところが多く、そういうところのラヴェンダーは、5月末から6月でも、意外にも花をつけ始めていました。

「いずれにしても、われわれの多くがあれだけ苦労しているラヴェンダーが、あっけらかんと何の苦もなく元気に育っているのはくやしいというか羨ましいというか」

...現在では、日本の気候に適したラヴェンダーが多く出回るようになり、一般家庭で栽培するのは少しも難しくなくなった。でも1995年ごろ、日本で「ハーブ」がはやり始めたころは、ラヴェンダーを育てるのはとても難しく感じられたのだ。

    
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Software MacKiev - Kid Pix Deluxe 3X
kidpix.png

日本版はまだで、今まで気がつかなかったのだが、往年の名作お絵描きソフト、「キッドピクス」の Mac OS X 版がすでに2003年末から存在しているのだった。Tiger 用のアップデータももうちゃんと出ている。製造元のショップで早速注文。39.95 USD に、送料 5.95 USD。10日ほどで到着。着いてみたら、送料は 21 USD かかったことになっていたけれど、いいのだろうか?

4歳以上向け。大人も結構楽しめるコンセプトはかつての Classic 版と同じ。楽しいスタンプもミキサーも健在だし、Painter の特殊ブラシのような機能もある。しかし旧版とは比べ物にならないほど画質が向上し、大きなモニタにも対応している。また、 iMovie, iTunes, iPhoto, Mail とシームレスに連携する。iPhoto から写真を取り込み、iMovie にアニメをエクスポートすることができる。US版であっても、文字入力は多言語に対応し、日本語も問題ない。基本的にお絵描きソフトであって、ユーザーインターフェイス(ヘルプを表示させなければ基本画面に文字はほとんどない)も明快なので、子供は US 版のままでも難なくいじることができるだろう。音声付きのヘルプは秀逸なのだが、残念ながら当然米語のみ。

このバージョンも相変わらず数々の賞を受賞し、2004年のMacWorld SF でも、Best of Show に選ばれているようだ。

改めて確認してみると、Mac 版キッドピクスは、2000年に Mac OS 8.0 対応というキッドピクス2001が出されてのち、日本語版は出ていないようだ。日本語版販売元だったインタープログのサイトには、「ライセンス元との契約終了に伴い」、2004年8月末でキッドピクス2001の販売を終了する旨のアナウンスが掲げられている。日本語版は Windows 版のみだったそのあとのバージョン、キッドピクス3(2001年)も、今年2月に販売終了。「長年皆様にご愛顧いただき誠にありがとうございました。」という文句からは、もうインタープログがキッドピクスにタッチすることはなさそうだと窺える。(ちなみに、やはり同社が日本語版を販売し、そのためだけに Classic 環境を残しておく価値さえあった名作「おばあちゃんとぼくと」などの「リビングブックス」シリーズも、軒並み手に入らなくなっているようだ。)

この Kid Pix Delux 3X、US 版でも使えるとは言え、日本語版が出ればずっと多くの家庭で気軽に使えるようになることだろう。Mac OS X が成熟し、キッドピクスもそれにふさわしく進化してきたいまこそ、どこかから、新バージョンを日本語版でも出してほしいものだ。どこか出す予定はないのだろうか?

    
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AppleStyle からデジタルピープル: Windowsからmacに乗り換えてみて。に「通りすがり」、コメントしようと思ったのですが、長めになったのでこちらで。

このへんは周知かもしれませんが、デフォルトのボタン(青く点滅しているもの)は、returnかenterを押せばクリックの代わりになります。以前はこれだけでしたが、最近の Mac はやや不統一で、まわりがぼうっと青く光っているボタンはスペースバーを押せばクリックしたことになります。また「キャンセル」は、command + "." です。

Mac のキーボードショートカットは、基本的な部分はアプリごとにまちまちということもなく、覚えやすいと思いますし、またテキストを扱うソフトの多くで、emacs 風キーバインドが効くのを喜んでいる方は多いようです。しかしそれ以外は、アプリごとによほど使い込まないと、細かいところまで覚えて使いこなすのはやはり難しいですね。キーボードショートカットを「学習」する上でちょっといいのが、有償ですが、 KeyCue。起動項目に入れてバックグラウンドで動かしておき、command キーを長押しすると、そのときアクティブなアプリのキーボードショートカット一覧がふわっと表示されます。
keycue.png

    
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The Unofficial Apple Weblog (TUAW)

の記事によれば、Tiger にはモニタを90°ずつ回転させて表示する隠し機能がある。システム環境設定を、すでに開かれていればいったん終了し、改めて開いて、option キーを押しながら「ディスプレイ」をクリックすると、「メニューバーにディスプレイを表示」の上に、「標準」、90°、180°、270°から選択できるプルダウンメニューが現れる。

ただし、回転したモニタに対してトラックパッドで操作するのは楽ではないという。

PowerBook でも、15インチ以上で、ATI Mobility Radeon 9700 を積んだものならこの機能を享受できるらしい。残念ながら、僕の12インチではダメだった。

    
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18歳のヤーコプ (Tom Schilling) と、ポーランド人のオペアガール、ヴァンダ (Alicja Bachleda-Curuś) との間の、ドイツ映画にしては拍子抜けするぐらいフツーの恋愛ドラマ。奇をてらわず、丁寧に作られていると言うこともできるだろう。最後は抑制の効いたハッピーエンド。安心して見られます。いや、恋に恋しているぐらいの年頃の子たちにはちょうどいいかもしれない。ミヒャエル・グートマン監督。約90分。聴覚障害者のためのドイツ語字幕付き。

前に紹介した Lichter はドイツとポーランドの国境の二つの町、スルビチェと、フランクフルト・アン・デア・オーダーのちょっと哀しい話だった。Herz im Kopf はフランクフルト・アム・マインが舞台だが、ヒロインはポーランド人。

少し話が逸れるが、今年は『日本におけるドイツ』年だそうで、さまざまなイベントが行われている。ドイツ人たちにとっては、この4月30日に両国大統領が出席してオープニングが行われたという「ドイツ-ポーランド」年のほうが、まだ意味がありそうだ。なにしろお隣さんだし。(イラク攻撃への対応の違いから少々齟齬が生じていた両国関係を、良好なものにしていくという意味も、このイベントは持たされているらしい。)

    
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Tiger は、Spotlight や Automator や Dashboard のような目立つ新機能もあるが、むしろ細部が隅々まで磨かれ改良されているところにポイントがあるように思える。

その一つが多言語のサポート。もともと Mac は他の OS に比べて相対的にマルチリンガルに扱いやすいとされてきた。他の OS ではドイツ語やフランス語の特殊文字を入力するのさえずいぶん手間らしいし、システムワイドでの統一性もないらしいが、Mac はその点は以前から何の困難もない。(ドイツ語、フランス語のキーボード配列は用意されているけれども、U.S. モードでもウムラウトやアクサンの入力は容易だ。スロヴェニア語の入力について言えば、スロヴェニア語用キーボード配列も用意されているが、僕はずっと U.S. Extended というキーボード配列を便利に使ってきている。)
そして、こうしたマルチリンガル面での使いやすさは OS X のバージョンアップで着実に絶対的なものに近づいてきているようだ。

アップル - Mac OS X - 特長 - インターナショナル
Apple - Mac OS X - Features - International

古典ギリシャ語現代ギリシャ語のサポートも強化されたらしいし、中国語の繁体簡体の変換ができるようになったというし、上の日本語のほうのページではなぜか触れられていないが、韓国語のインプット・メソッドも一つ増えて改良されている。

言うまでもないが、Apple のサイトのタイトルにも見て取れるように、international = 英語 ではない。なわけない。もしそうなら、いつまでもシフトJIS でいいんだけれどね(シフトJIS では日本語も表しきれない、というのもあるが)。

    
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