2002年。 "Crazy" などの作品で知られる Hans-Christian Schmid 監督。
国境の川、オーダー。その川を挟んで向かい合うポーランドの町スルビチェと、ドイツの町フランクフルト。(フランクフルトといっても、ドイツ経済の一中心地フランクフルト・アム・マインではなく、田舎町のフランクフルト・アン・デア・オーダーだ。)
そういう舞台での二日間。そこで、いくつもの人生が交錯する。夢と挫折、遠い愛と裏切り、だまし、だまされる人々、ひたすら信ずる人々。
ウクライナからやってきて、乳飲み子を抱えてドイツに密入国しようとするコーリャ、アンナ、ディミトリたち。仲介業者のトラックでベルリンまで運ばれるはずが、降ろされたところはスルビチェだった。
コーリャの密入国を助けようとして裏切られるフランクフルトの出入国管理所の通訳、ソーニャ。
フランクフルトでマットレスの店を経営するインゴ。商売はうまくいかず、破産寸前だ。
ポーランドから安いタバコを密輸しているアンドレアスたちドイツ側の若者のグループ。
娘の堅信礼のドレスを買うため夜通し働くスルビチェのタクシー運転手、アントーニ。
その妻もインゴの店で働いていたのだが、賃金は出ない。
とても知的に巧みに組み立てられた作品。と言っても、シュミットにはクヴァベックのように感じる能力が欠如しているわけではない。あえてする抑制の効いた姿勢なのだ。非常にすぐれた作品だと思う。ただし、様々な人生が断片的に描かれながら次第に絡み合っていく構成からして、ドイツ語初心者向きではない。日本で公開するには、よほど巧みな字幕が必要だろう。
『クッバイ、レーニン!』で主人公の姉を演じていたマリア・ジーモンが、見事にソーニャを演じている。アントーニはキェシロフスキ映画のいくつも、とりわけ『白の愛』で名演していたズビグニェフ・ザマホフスキ。野心的で俗物の建築家に、『ラン・ローラ・ラン』でローラの父親を演じていたヘルベルト・クナウプ。
この項はいずれ加筆します。




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